男は、ただ、ずっと一緒にいたいだけだった……。
女は、限られた時間に人生を捧げた……。
すれ違う2人の想いは、春から夏を過ぎて、秋から冬、
そして再び2人が出会った、あの春へ……。
その出会いは悲劇か……。
そこに救いはあるのか……。
答えは、里山での暮らしが教えてくれる
“無言の約束”の中に……。
展勝地開園100周年を1年後に控えた2020年3月、
展勝地の桜のつぼみがゆっくりとふくらみはじめた頃、
ひとりの女性が北上市に舞い降りた。
そして、物語の幕があがる。
果たして彼女は、天使? それとも……。
ラジオドラマ
あの桜の下で 君と ~里山樹木利活用図鑑より~
2020年10月9日(金)午前9時より、いよいよオンエア!
※再放送は、2020年10月10日(土)午後7時から。
Introduction~物語が生まれた背景~
きっかけは、「きたかみE&Beエフエム」で毎週金曜午前10時からお届けしている番組「Cafeぶらんち」のパーソナリティ・佐藤禄子さんとの出会い。
「こんな素敵な冊子があるんだけど、その魅力をラジオドラマで楽しく紹介できたら面白いと思うんだよね」というような相談をされ、見せていただいたのがご覧の冊子「擬人化で楽しむ里山樹木利活用図鑑」。
この冊子とこれを手掛けた奥州市の「うたがき優命園」さんの詳細は前回の記事(こちらをクリック! ➡ ラジオドラマプロジェクト始動!)に任せるとして、その魅力にひかれ、ラジオドラマ化に向けて動き出したのが7月のこと。
集まったメンバーは北上市とその近隣の事業者さんたちで、「うたがき優命園」さんとゆかりのある方を中心に最終的には12名が参加。
この冊子は、里山の樹木をキャラクター化してやさしいタッチのイラストでわかりやすく紹介している点が魅力。それを踏まえ、「もしこの冊子のなかに登場するキャラクターが北上市に突然現れたら、どうなるだろう?」と考えたのが出発点。
そこからイメージをふくらませ、北上市といえば展勝地の桜。桜といえば、この冊子では「カスミザクラ」が登場。「カスミザクラ」といえば、展勝地を見下ろす陣ケ丘にも……。と物語のキーになるキャラクターが決定。
さらに、経済効率や快適性・利便性などを優先する時代の陰で、どんどん忘れ去られようとしている“里山”での豊かな暮らしを、そこに生息する樹木たちを通して改めて見つめ直そうというこの冊子のテーマもしっかりと、でも楽しいカタチで伝えていこうとチャレンジしたのが、今回のラジオドラマです。
役者でもない一般の方々が、しかも自分自身の役で登場し、60分のラジオドラマに仕上げるというのは無謀では? というご意見もあるかとは思います。
さらに、それぞれが自身の仕事を持っており、そのなかには超多忙なシーズンの真っ只中にいて、なかなか練習できないという方もいらっしゃるので、どんな仕上がりになるかは……。
がしかし、今回、出演を快諾してくださったみなさんは、新たなチャレンジに、やる気も十分! ラジオドラマ初体験の緊張は、よりよい作品を仕上げるためのバネに。少しぐらいの失敗も、作品の楽しい魅力のひとつに変えてくれることでしょう。
北上市と近隣の事業者さんたちがご自身の役で登場! 笑いあり、涙ありのラブコメディ「あの桜の下で 君と ~里山樹木利活用図鑑より~」。どうぞ、お楽しみに!
Story~物語がつむぐ世界~
サクラとリョウが出会ったのは、展勝地の桜のつぼみがふくらみはじめた頃。
サクラは桜の季節に突然現れた女性、リョウはワインバーのソムリエ。
そんな2人の関係は、展勝地の桜の花が咲き、色を深め、やがて満開を迎えるように “桜”を通じて近づき、深まり……。しかし、桜の花が散り際を迎える頃、サクラは突然リョウの前から消えてしまいます。
サクラにいったい何が起こったのか。自分が何をしたのか……。思い悩み、気がつけば涙が頬をつたい、憔悴の日々を過ごすリョウですが、その周りに集まってくるのは、リョウのことを心配し、さりげなく支えようとするイトウさんやジュ―ショクのようなヒトばかりではありません。
事件は、口は悪いが根はやさしい(と本人たちは思っている)双子の姉妹、みつ婆といつ婆が切り盛りするカフェ「マルメ_トキワダイ」で勃発!
同店の常連で密かに(というかおおっぴらに)サクラに恋焦がれていたレンちゃんとリョウが鉢合わせしたことから、「サクラ失踪」をめぐるイザコザが母校の看板を背負ったケンカに発展! 話がさらにややこしくなり……。
一方、サクラの方はそんなドタバタが起きているとも知らず、とある里山で、里山の守り人・河内山家のカナさんや、その友人のマチカさんらに見守られながら暮らしていますが、その心は……。
サクラとリョウ。
離れ離れになってしまった2人は、どうなってしまうのか……。
個性豊かな面々とともに、さまざまなドタバタを繰り返しているうちに、季節は夏から秋、冬を過ぎて、サクラとリョウが出会った春へ。
そして、桜のつぼみがふくらみ、花が咲き、やがて満開の時を迎えてもひとりぼっちのリョウは、サクラと一緒に眺めた桜の下へ、あの里山へ、仲間とともに向かいます。
しかし、そこにはもうずっと泣いてばかりいた、かつてのリョウの姿はありません。
何かを決意したように、笑顔で桜の花を見上げるリョウ。
そんなリョウに笑いかけるように咲く、桜の花。
その花がサクラの顔と重なり、やがて“無言の約束”を交わす2人。
そこには、どんな未来が……。
人物相関図/Cast
◆「人物相関図」のダウンロードはこちら ↓
◇サクラ(桜 かすみ)/鹿糠さつき
「里山樹木利活用図鑑」に登場する「カスミザクラ」の妖精。2021年の展勝地開園100周年を前に、人間の姿でひょっこり展勝地を下見に訪れたところ、リョウと遭遇しフォーリンラブ♥
しかし、人間の姿でいられるのは展勝地の桜が開花している時期だけ……。「突然いなくなるとリョウ君がかわいそうだから、きちんと別れ話をしなさい」と妖精の先輩であるみつ婆・いつ婆にアドバイスされるも、なかなか言い出せない性格が災いに。
結局、サクラは突然いなくなることになり、話がややこしく、またリョウの哀しみも倍増することに……。
今回、人間とカスミザクラの妖精の一人二役を演じるのは、2020年3月まで「きたかみE&Beエフエム」のパーソナリティだった鹿糠さつきさん。七色の声を操る彼女が、純粋なリョウを振り回す罪な女性と妖精をどう演じるのか、乞うご期待!
◇リョウ/菊池 亮(自然派ワインと料理の店 Bon Bar・ソムリエ)
カスミザクラの妖精とも知らず、サクラと恋に落ちるリョウは、37歳の今でもサンタクロースを信じる純粋な男性。それだけに愛するサクラの突然の失踪には心が耐えられず、ついつい涙がこぼれ、果てはケンカに巻き込まれ……。
今回、喜怒哀楽が激しく交錯する難しい役を演じるのは、北上市内にある「自然派ワインと料理の店 Bon Bar(ボンバル)」のソムリエであり、自身もサンタクロースを信じているという菊池亮さん。
そんな亮さんは、子どもの頃から学芸会などの舞台では主役を務めており、今回もやる気十分! 哀しみに耐えられず、すぐ涙を流していた男が周りのヒトたちに支えられ、またあるきっかけを通して笑顔を取り戻していく姿を果たしてどう演じてくれるのか……。お楽しみに!
イトウさんは北上市更木地区で「固定種」にこだわり、無化学肥料・無農薬のおいしい野菜づくりに真摯に取り組む農家さん。
このラジオドラマの中では、一番リョウのことを心配して行動しているように見えるなど番組の良心的な存在ですが、仲の良いジュ―ショクには話が長くなりそうだと見るや、ビシビシ突っ込みを入れる厳しい一面も。
その様子は、不必要なわき芽を摘み取る熟練した農家さんの手際のいい「芽かき」の作業を見るようで、ドラマが横道に逸れ過ぎずテンポ良く進んでほしいと願う制作側からすれば、頼もしい存在!
北上市更木地区で400年の歴史を刻む「曹洞宗 花岩山 永昌寺」の第25世住職。
一般的に“住職”というと近づきづらいイメージですが、海野住職は境内や本堂を地域の方に開放しイベントを開くなどフットワークも軽く、地域でも親しまれている存在です。
もちろん、ラジオドラマでもそのキャラクターはそのまま。リョウのためにいろんな場所に訪れ、曹洞宗の本部にある「布教師養成所」に8年間も通って学んだ、心のやすらぎになるお話をしてくれます。が、なぜか、いつも気づけば、最後は自分のコイバナを語りはじめ……。
個人的には、物語のラストを締める最後の演技に期待!
◇カナさん/河内山 可奈(うたがき優命園)
ご主人の河内山 耕さんとともに1992年に奥州市の原野に入植。山林を含め6ヘクタールの農場を開拓しながら、豊かな里山での暮らしを育んできたカナさんは、鶏や羊、豚などを飼育しながら、無農薬の野菜やアイガモ農法による米を栽培し、平飼い卵や手づくりのジャムなども販売している「うたがき優命園」の女神。
今回のラジオドラマのベースとなる「里山樹木利活用図鑑」は、耕さんが2009年に設立した「里山生活学校」が3年の歳月を費やして制作したもの。
そんなご主人の想いも背負うカナさんは、哀しみにくれるサクラを時にやさしく見守り、ときに厳しく応援もする里山の母役を熱演!
物語の鍵になる“無言の約束”も、カナさんが語るからこその説得力が!
◇マチカさん/佐藤真智香(KOШKA<コシカ> gallery&atelier)
ラジオドラマの役だけでなく、プライベートでもカナさんやみつ婆と友達だというマチカさんは、やきものや草木染などを手掛ける手仕事作家さんです。
拠点となるのは、金ケ崎町にある古い納屋を改装し、2007年にオープンした「KOШKA<コシカ> gallery&atelier」。
さらに、その活躍のフィールドはフラダンスや太極拳にも及び、近年は地域とのかかわりやヒトとのつながりを大切にしながら、「みんなの心が豊かになるお手伝いをすること」をテーマに活動。
そんなマチカさんの今回の役どころは、サクラのお姉さん的な役割で、カナさんと一緒に哀しみにくれるサクラを励ましてくれます。
注目は、ラジオドラマで披露するフラダンス!?
◇みつ婆&いつ婆/佐藤禄子(マルメ_トキワダイ)&みえぞん(きたかみE&Beエフエム)
「里山樹木利活用図鑑」に登場する「みつ婆&いつ婆」は、ミツバアケビとアケビの妖精。そんな2人を演じるのは、北上市内でカフェ「マルメ_トキワダイ」を営みながら、きたかみE&Beエフエムのパーソナリティも務める佐藤禄子さんと、同じく同局のパーソナリティ・みえぞんさんコンビ。
お2人には、人間界と里山との橋渡し役として、ラジオドラマ内でもカフェ「マルメ_トキワダイ」を切り盛りしていただいていますが、常連のレンちゃんが加わることで、同店ではいつも事件が……。
物語をスピードアップさせたり、ときにブレーキになったり、壊したりと、物語全体の流れの手綱をにぎる重要な役ですが、そこはお2人の酸いも甘いも嚙み分けた豊富な人生経験と、息の合ったコンビ芸で乗り切ってくれることでしょう!
◇レンちゃん/和田錬治(北良株式会社)
筆者がリアルに禄子さんのお店「マルメ_トキワダイ」にお邪魔し、「里山樹木利活用図鑑」のラジオドラマ化について話をしていたとき、たまたま隣でお酒を飲んでいたのが、リアルに「マルメ_トキワダイ」の常連である和田練治さん。
私たちの話を横で聞いていて、「面白そうっすね。俺も出してくださいよ」と恐らく冗談で言ったことがきっかけで今回の出演が決定!
恐らくご本人は「出る」と決まったときも、「ちょい役だろう」と軽く考えていたと思いますが、どっこい、予定調和なドラマの展開をぶち壊す重要な役として大活躍していただきます(笑)
実はお店で飲んでいるとき、他のお客さんとも気さくに話す練治さんの様子を見て、「レンちゃん」キャラは確立されました。泣く、笑う、怒る、いじけるレンちゃんのほとばしる演技にご期待ください!
以上のメンバーでラジオドラマ「あの桜の下で 君と ~里山樹木利活用図鑑より〜」をお送りいたします!
オンエアは、2020年10月9日(金)午前9時から「きたかみE&Beエフエム」(88.8MHz)でお届け!
どうぞ、お楽しみに!
ラジオドラマ
あの桜の下で 君と ~里山樹木利活用図鑑より~
2020年10月9日(金)午前9時よりオンエア!
※再放送は、2020年10月10日(土)午後7時から。
◇ラジオドラマプロジェクトのスタートに合わせて、「うたがき優命園」さんを訪れ、物語の舞台としても登場する里山を見学した様子は、こちら! → ラジオドラマプロジェクト始動!
◇ラジオドラマの収録風景は、こちら! → ラジオドラマ収録の舞台裏!
(了)
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