ウールの宝石と希少な金属と……。
モノを大切にする暮らしと出合う
小学生対象「工場見学・体験ツアー」開催!
北上市内の小学4~6年生を対象にした「工場見学・体験ツアー」が8月6日に開催されました。夏休みと冬休みの恒例イベントとして毎年開催されている同ツアーは、毎回募集開始とともにすぐ定員(20名)が埋まるほど好評。人気の秘密は、見学を受け入れる企業が子どもたちに楽しんでもらえるアレコレを準備している点です。今回は当日3名がお休みとなってしまいましたが、残りの17名の子どもたちは元気に参加してくれました!
東北有数の産業集積都市として知られる北上市には、クルマ、スマホ、家電製品、医療・福祉、食品など毎日の暮らしに欠かせない製品や、毎日の暮らしを豊かにするモノをつくる工場がたくさんあります。その魅力を子どもたちに体感してもらおうと北上市が主催する「工場見学・体験ツアー」、今回はどんな工場へ? いざ、出発!
株式会社ユーティーオー(UTO) 岩手工場

廃校の校舎を新工場に。
手仕事の技が光る
世界最高峰の“肌触り”を体感!
「ウールの宝石」とも称される世界最高峰のカシミヤを使用したニットを手掛ける株式会社ユーティーオー(以下UTO)は、1992年に東京・青山で創業。日本製にこだわり、企画・製造から販売まで自社で一貫して行う日本でも数少ないニットメーカーです。
そんな同社が北上市に工場を構えたのが2011年のこと。同社のカシミヤニットは北上市のふるさと納税の返礼品としても人気を博し、近年はイギリスやフランスをはじめ海外8ヵ国でも販売。2024年の5月には生産拡大に伴い、廃校となった北上市内の旧黒岩小学校をリノベーションして新工場として活用するなど、地域とのつながりも大切にしながら成長している企業です。

今回はその新工場を見学しましたが、工場内に一歩足を踏み入れると、黒岩地区の子どもたちが学んでいた頃に慣れ親しんでいた表札やステンドグラスなど思い出の風景がアチコチに。「北上市をカシミヤニットの聖地にしたい」という目標を掲げる同社では、「地元に長く親しまれてきた小学校の面影を守り、地域と連携したものづくりで成長したい」という想いがあるそう。そんなUTOでは、どんなものづくりをしているのでしょうか? さっそく、工場見学がスタート!

カシミヤニットの
やわらかさの秘密、
目と手で体感!

工場見学の最初に説明があったのが、カシミヤニットの原料について。UTOが使用するカシミヤは、冬は-30℃以下、夏は30℃を超える中央アジアの厳しい自然環境で暮らす山羊のうぶ毛(カシミヤ)のなかでも、軽くてやわらかい世界最高峰の品質を誇るカシミヤを使用しているそう。
UTO岩手工場のものづくりの特徴は、効率よく・大量生産ではなく「カスタムオーダーメイド」で1枚1枚を丁寧につくること。そして、厳しい自然環境の中で育った世界最高峰のカシミヤ糸の風合いや肌触りを、時間と手間を惜しまず最大限に引き出すことだそう。見学では、そのカシミヤ糸からセーターやストールがつくられ、お客さまのもとに届けられるまでの工程を見学できました。

前後に600本ずつついた針で色も鮮やかなカシミヤの糸を編み上げ、セーターやストールの生地に仕上げる自動横編機の精密な作業。生地1枚1枚に手作業で丁寧にアイロンの蒸気をあて、カシミヤ(山羊のうぶ毛)本来のやわらかさを取り戻す作業。自動横編機で仕上げた生地の細やかな網目を手作業でひとつひとつつなぎ合わせ、セーターなどのカタチに仕立てていく「リンキング」という作業。そして、完成した製品をお客さまにお届けする前に職人の目と手でひとつひとつ仕上がりをチェックする検品の作業……。
ふだんは見ることのできない作業の様子を見学するだけでなく、工程ごとにカシミヤのやわらかさを1人1人が実際に手で触ることができましたが、アイロンの蒸気をあててカシミヤの生地がさらに軽くやわらかくなっていると実感できて、子どもたちもびっくり。加えて、カシミヤは着るほどにやわらかくなり、肌触りも良くなっていく(「経年変化」という言葉も教えていただきました)そうで、「長い年月をかけて着る人になじみ、一緒に長く楽しめるのがカシミヤ」と説明を受けて、子どもたちはさらに驚いていました。

子どもたちの目も真剣!
熟練の技「リンキング」を体験!
さまざまな工程を見学したなかで、子どもたちが実際に作業を体験したのが「リンキング」です。人の目と手で細かな生地の編み目ひとつひとつをつなぎ合わせて、ニットに仕立てあげていく「リンキング」は熟練した職人が担当する作業だそう。

おまけにUTOでは世界最高峰のカシミヤを使用しており、軽く、やわらかで、肌あたりの心地よさも人気の理由です。その心地よさを実現するためには、生地と生地を上手につなぎ合わせるだけでなく、そのつなぎめが肌に触れてもなめらかで心地よいと感じる仕立てにする技術が必要だそうで、熟練した職人さんの手ほどきを受けながら、細やかな生地の編み目をひとつもこぼすことなくつなぎ合わせようとする子どもたちの目は真剣そのものでした。

この「リンキング」の作業は子どもたちにも新鮮な体験だったようで、作業の後に職人さんに個別で質問する子どもたちの姿も見られました。また、UTOでの工場見学では地元ケーブルテレビや新聞社の取材も入り、子どもたちはカメラマンさんや記者さんから取材を受ける体験も。それも含めて、忘れられない工場見学になったことでしょう。

工場見学の最後は、旧黒岩小学校で多目的ホールとして使用されていた場所で記念撮影。廃校となった小学校を再利用した工場で、手仕事のすばらしさを体験できた学びの多い見学となりました。

◇株式会社ユーティーオー(UTO)の詳細は公式HPへ!
https://uto-knit.com/
株式会社マルサ

90年前から地域で捨てられる
モノを資源に。リサイクルで
地域貢献する工場へ。
1935(昭和10)年に古美術品や古衣類などを扱う古物商としてスタートし、1941(昭和16)年には太平洋戦争開戦により鉄、非鉄くずの回収業務を開始。現在では「循環型社会の形成に貢献する」というビジョンを掲げ、一般家庭から商業施設や企業まで、日々の暮らしや事業を通して排出される廃棄物をリサイクル資源として再利用または環境に配慮しながら処分する事業を展開している「株式会社マルサ」は、創業から90年にわたって地域で捨てられるモノを資源として活用し、私たちの日々の豊かな暮らしを支えている企業です。
同社では、そうした取り組みをひろく地域の人にも知ってもらおうと、工場見学を積極的に受け入れており、多いときには年間で800名ほどを受け入れたこともあるそう。
今回はそんな同社の工場へ。いざ、見学スタート!

あれもこれも。
廃棄されたモノを
再び暮らしの中へ。
工場見学で最初に体験したのが、トラックの重量がその場で確認できる装置です。工場の出入り口に埋め込まれた鉄板の上にトラックを停止させるとトラックの重量が計測できるというもので、過積載(法令で定められた最大積載量を超えて荷物を積んで走行すること)の防止にも役立つそう。この装置に子ども17人+大人4人で乗り、トラックとの重さを比較しました。もちろんトラックの重さには遠く及びませんでしたが、ふだんはできない体験を子どもたちも楽しんでいました。

工場内に入ると、鍋・フライパンや家具・家電品など一般家庭で目にする多くのモノはもちろん、製品を入れる分厚くて大きいプラスチックケース、事務機器、アミューズメント機器、タイヤやバンパーなどクルマの部品、産業機械、さらにはコンクリートのがれきなどまで、一般家庭や商業施設、企業から出される多種多様な廃棄物が、仕分けされて置かれていました。
そこからさらに「樹脂(プラスチックなど)」「金属」「非鉄金属(真ちゅう・鉛・アルミなど)」「特殊金属(金・銀・プラチナなど)」「紙」などに分別され、廃棄物からリサイクル原料として生まれ変わり、製鉄所・樹脂工場・製紙工場などさまざまな工場やメーカーなどへ出荷されていくそう。

マルサの工場では、そうした作業を安全かつ効率よく行うためにさまざまな機械が活躍していました。クルマもまるごと持ち上げられるマグネット(電磁石)を使って鉄くずを分別する装置。効率よく運び、リサイクルもしやすいように、分厚くて大きなプラスチックケースなどもアッという間に細かく粉砕する装置。木製の家具や解体された建築物の木材などを細かく粉砕する重機。廃プラスチックと古紙を混合して、石炭に替わる燃料をつくる装置などなど、ふだんは目にすることがない大きな重機や機械を見て、子どもたちも驚いていました。



最新機器の中にも……。
リサイクルが支える
便利な暮らし。
しかし、機械化が進む一方で、細かい分類が必要な廃棄物は人間の手でひとつひとつ分解しながら作業しているそうで、その様子も見学できました。私たちが便利に使用している電子機器などには「レアメタル」のような希少な金属が使用されているため、そうした廃棄物も手作業で分解され、取り出した金属はリサイクル資源として再利用されているそう。私たちがふだん当たり前のように使用している最先端の電子機器にも、手作業で分解しながら希少な金属を取り出す人がいて、それが再利用されていると知ると、改めて限りある資源を有効活用できるリサイクルの大切さを実感できました。

最後に訪れたのは、マルサのグループ会社「株式会社エコ」の工場です。こちらでは、新聞・雑誌・段ボールなどの紙類やアルミ缶などを回収・分別し、リサイクル資源として製紙工場やアルミ缶のリサイクル工場へ出荷しているそう。
見学に訪れたとき、タイミングよく段ボールを回収したゴミ収集車が到着。子どもたちの目の前で、大量の段ボールがゴミ収集車からあふれ出すと、その量に子どもたちもびっくり。

この段ボールはベルトコンベヤーに乗り、そのまま圧縮・梱包され製紙工場に出荷されるそうですが、このようにスムーズにリサイクル作業が行えるのも、ゴミの分別がきちんとできているからだそう。
「廃棄するときは、段ボールは段ボール、雑誌は雑誌、新聞は新聞ときちんと分けましょう。それがきちんとできていると作業がやりやすくなるだけでなく、リサイクル資源の有効活用がさらにしやすくなります」
その説明に子どもたちも納得した様子。ゴミの分別は「リサイクルの第1歩」ともいいますが、今回の見学を通して、ゴミだと思っていたさまざまな廃棄物が細かく分類され、リサイクルしやすいように加工(解体・切断・圧縮・破砕など)することで資源として再利用されやすくなり、私たちの暮らしに生かされていることを知りました。子どもたちもそのことを身をもって実感し、改めてリサイクルの大切さを感じた貴重な時間となったのではないでしょうか。


◇株式会社マルサの取り組みの詳細は公式HPへ!
https://marusa.info/
北上市内の小学4~6年生17名が参加した地元の企業をめぐる「工場見学・体験ツアー」はこうして無事終了となりました。次は冬休みに行う予定です。今度はどんな企業を見学できるでしょうか。お楽しみに!
過去のツアーの様子もチェック!
◇2025年1月の「工場見学・体験ツアー」の様子はこちら!
https://kitakami-shigotonin.com/news-event/f-tour2501/

◇2024年8月の「工場見学・体験ツアー」の様子はこちら!
https://kitakami-shigotonin.com/news-event/f-tour2408/

◇2024年1月の「工場見学・体験ツアー」の様子はこちら!
https://kitakami-shigotonin.com/news-event/f-tour2401/

(了)







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