展勝地の桜の美しさを多くのヒトに。 「さくら染め」のやさしい色合いに 想いを託す悉皆屋。

さくら染家 和の衣 さとう

二代目店主・さくら染家 佐藤敏孝

女将・きもの研究家   佐藤美津子

「さくら染め」を全国に……。この春迎えたコロナという試練。

 長い冬を乗り越えた先で、春の訪れを告げてくれる「桜」は、古の時代から日本人とはゆかりの深い花です。真っ白な雪に覆われ、色の乏しかった東北の山や街の風景が、ほんのり頬を染めるようにやさしいピンク色に染まる様子を見ると、心もウキウキ弾んできます。

 しかし、今年は……。新型コロナウイルスの影響で、日本全国の「さくらまつり」が中止となりました。「日本さくらの名所100選」に名を連ね、青森県弘前市の弘前公園、秋田県仙北市の角館と並び、「みちのく三大桜名所」にも数えられる北上市の「北上展勝地さくらまつり」も、もちろん例外ではありません。

今年の展勝地の様子。新型コロナウイルスの影響で県をまたいでの移動が制限されているため、観光客の姿もほとんどなく、寂しい印象。

 例年40万人を超える観光客が押し寄せるこの「北上展勝地さくらまつり」をとても楽しみにしていたのが、佐藤敏孝さんです。敏孝さんは伝統的な草木染めの手法を用いて、展勝地の桜を染料に使った「さくら染め」を生み出した方。

さくら染め「Shawl セレーノ」

 「さくら染め」を通して、展勝地の桜をたくさんのヒトに知っていただきたい……。

 そんな想いを込めて、20年以上前からひとつひとつ手づくりで丁寧に仕上げる敏孝さんの「さくら染め」は、東北の厳しい冬を乗り越えて咲く展勝地の桜の繊細な美しさと、やさしい色合いを見事に表現するこだわりの逸品。

 その地道な取り組みが実を結び、2015(平成27)年の「全国観光土産品連盟 会長賞」受賞を皮切りに、毎年数々の賞を受賞。近年では東京の百貨店や大手生活雑貨店、羽田空港などでも取り扱われるように。

 しかし、これから「いよいよ全国に」と思った矢先……。

「新型コロナウイルスの影響で、東京での販売ルートが軒並みダメになりました。さくらまつりも中止になってしまったし、今年はいろいろひろがっていきそうだっただけに、仕方がないことですが、残念ですね」

 そう語る敏孝さんですが、言葉とは裏腹にその表情は「いつまでも下を向いてはいられない」とばかりに、終始おだやかな笑顔を浮かべています。

「今はマスクづくりで大忙しなんですよ。うちには手ぬぐいがいっぱいあるので、それでリバーシブルのマスクをつくってみたらお陰さまで好評で……。

 手づくりなので手間暇ばかりかかって大変ですが、忙しい分、気がまぎれるし、何よりそれで世の中のお役に立てるならと思って」

 そう言って笑顔を浮かべるのは敏孝さんの奥様で、きもの研究家でもある同店の女将・佐藤美津子さん。

 「さくら染め」とマスクづくり……。その不思議なご縁は、敏孝さんと美津子さんがご夫婦で営む「悉皆屋」(しっかいや)のお仕事でつながります。さて、筆者も初めて目にする「悉皆屋」とは?

「和の衣 さとう」が手掛けるマスクは、色使いやデザインも遊び心あふれる手ぬぐいを活用。
マスクの内側には、抗菌・防臭効果のある竹繊維を使用したシートも。
敏孝さんが考案した「さくら染め」は、2015(平成27)年の「全国観光土産品連盟 会長賞」受賞を皮切りに、毎年数々の賞を受賞。
昨年は全国各地のすぐれた観光土産品が選ばれる「NIPPON OMIYAGE AWARD」(民工部門)で特別審査優秀賞も受賞しました。
特別審査優秀賞を受賞した「タオルハンカチ」。展勝地の桜の花を模したタオル生地は今治製。
吸水性抜群で肌触りもよく大好評の逸品です。

着物のことなら「ことごとくみな」。北上の着物文化を支える悉皆屋。

 広辞苑をひらくと、「悉皆」(しっかい)とは「みな。のこらず。ことごとく。」という意味が記されています。「呉服屋」が織物や反物類を商うのに対して、「悉皆屋」とはその言葉通り、仕立てからメンテナンスまで着物にかかわる「すべて=ことごとくみな」を請け負うお店のこと。

 具体的な仕事は以下の通りですが、京都の専門店やそれぞれの分野の熟練した職人さんたちと連携しながら、お客さまのご要望にお応えし、愛着のある大切な着物を末永く着られるようにサポートしていく着物のスペシャリストです。

◇仕立て:お客さまの好みに合わせて色・柄を決め、反物から着物を仕立てる。

◇お手入れ:着物の「丸洗い」や着物を解いて水洗いする「洗い張り」、「シミ抜き」などにも対応。

◇柄の加工:身幅変更などに合わせて全体のイメージはそのままに新しい柄を足す「柄足し」や、派手な柄を地味に・地味な柄を派手にするなど全体のイメージを変える「彩色直し」などにも対応。

◇色の加工:色あせた着物を同じ色で鮮やかに染め直したり、違う色に染め替えたりする「染め替え」や、柄はそのままに地色全体を地味に・派手に替える「地色替え」などにも対応。

 「和の衣 さとう」は北上市鍛冶町に暖簾を掲げ、60年以上の歴史を刻む「悉皆屋」で、敏孝さんはその二代目。先代(敏孝さんの父)は秋田県湯沢市の出身で、東京で江戸友禅の修行を積み、終戦を機に北上市へ。

「当時は北上にも3~4軒染物屋があって、父はそのうちの1軒で職人として働くことになったそうです。

 のちに独立して悉皆屋となるわけですが、当時はまだ北上でも養蚕が行われていて、蚕の繭から紡いだ糸を織って白無地の生地ができあがると、うちのような悉皆屋が預かって、それを精練してきちんとした生地に仕上げていたようです。

 父はさらに白無地の生地と、さまざまな柄が描かれた見本を背負ってバスや電車を乗り継いで外回りの仕事もしていました。

 どんな色にするのか、どんな柄にするのか……。お客さまの好みをうかがって新しい着物を仕立てるのはもちろんですが、『今まで着ていた着物の柄が派手になってきたから、もっと地味にしたい』とか、逆に『もっと派手にしたい』というご要望も出てきます。

 そういうときに、『この生地はこういう染め替えはできるけど、これはできない』とか、『この生地だと、この見本の色よりも地味に色が出る』とか、生地や加工のことも含めて着物のことをきちんと理解していないと、お客さまも満足する着物に仕上げることはできない。

 悉皆屋は着物のことはなんでも知っていないとできない仕事で、そこが難しいところですが、お客さまのイメージ通りに着物が仕上がって喜んでいただけると私たちもうれしいですし、それがこの仕事のやりがいでもあります」

 と敏孝さんは胸を張ります。が、しかし、敏孝さんが2代目を継いだ40年以上も前をピークに、着物文化は徐々に衰退……。そんなときに敏孝さんが出会ったのが、「さくら染め」でした。

店内には色とりどりの反物と合わせて、上品な草履やバッグなどの小物も。
同店では悉皆業はもちろん、小物も含めた着物全般の販売や着付け教室の他、レンタルなども。
敏孝さんが「さくら染め」の作業をする工房は、お店に隣接。以前は、ここで先代が「染め」や「洗い張り」の作業をしていたそう。

研究と工夫を重ねて22年。試行錯誤の末、たどり着いた桜色とは?

 悉皆屋・二代目の敏孝さんが「さくら染め」にチャレンジしようと思ったきっかけは、今から22年ほど前。

「お世話になっているコンサルタントの方から“お国染め”というのを紹介されたんです。それぞれの地域を代表する草木を使った染め物で着物をつくろうという取り組みで、最初は京都の専門家の方にお願いをして、展勝地の桜の木の皮を染めの原料にした着物をつくりました。

 ところが、実際つくってみると着物1枚で100万円にもなる……。みなさん『キレイだね!』『いいね!』とはおっしゃってくださるんですが、高価すぎて誰も買ってはくれない(笑) これを扱うのは無理だと思いました。

 でも、“さくら染め”はやっぱりキレイで……。だったら専門家に頼まず、自分で草木染めを勉強して手づくりでハンカチやショールなどの小物を染めれば、みなさんがもう少し手軽に購入できるような値段で販売できるんじゃないかと思ったんです」(敏孝さん)

 そこで敏孝さんは、まず着物専門の草木染めを習うために群馬県の桐生市へ。続いて神奈川県川崎市にある草木染めの研究所に月イチで2年間通い、着物だけにこだわらずに草木染めを勉強。さらに、その後も自身で研究を重ね、納得のいく「さくら染め」を追求し続けます。

「最初は展勝地の桜の剪定作業をしている方から焼却処分にされる桜の木をもらってきて、その皮をはいで染料にしようと思いましたが、色が出なくてダメでした(笑) 

 でも、そのあといろいろ試してみると、桜が咲く間際のつぼみをつけた枝の先を切って使うとキレイないい色が出るとわかった。

 それからは毎年、桜が咲く間際の3月末から4月中旬にかけて、ちょっと強風が吹いたと思ったら展勝地に行って、落ちている枝のなかでもつぼみのついているものを拾ってきて使うようにしています。

 もちろん、それをそのまま使ってもキレイな色は出ません。持ち帰った枝をチップ状にして、それから夏まで天気のいい日に外に出して天日乾燥させます。それを何度も繰り返して、ようやくキレイな桜色が出るようになる。

 今では、例えば昔は1回の作業で200g必要だった桜の枝が、50gでも十分キレイな色が出るどころか、出過ぎるぐらいです」

 そう言って笑顔を浮かべる敏孝さんですが、長年にわたって研究と工夫を重ねてたどり着いた「さくら染め」の繊細でやさしいピンクの色合いには、深いこだわりがありました。キーワードは、「天然」です。

毎年、3月下旬から4月中旬にかけて、展勝地の桜が咲く間際に強風などで落ちた枝を拾い、「さくら染め」の染料に。
これから咲きそうなつぼみがついている枝の先端をチップ状にカット。
春から夏にかけて、天気のいい日に何度も天日干しに。
しっかりと乾燥させた枝を蒸らして「さくら染め」の染料が出来上がります。

紫外線や蛍光灯の光でも影響が……。それでも譲れない想い。

「うちのさくら染めは、化学染料などは一切使っていません。しかも、展勝地の桜が咲く間際の枝から取り出した天然の染料で染めているので、同じ商品でも微妙に色が違う場合もあるし、店頭に長く置いておくと紫外線はもちろん蛍光灯の光だけで“焼け”を起こす場合もあるなど繊細です。

 化学染料を使えば色も均一にできるし、店頭に置いておいても“焼け”を起こさず長持ちする商品ができるのかもしれません。

 でも、それはやりたくない。やっぱり展勝地の桜のキレイな色とやさしい風合いをできるだけ自然のまま楽しんでいただきたいんですよ」(敏孝さん)

「だから、作り置きもしません」と敏孝さんは言葉を続けます。「さくら染め」は1枚1枚手作業で丁寧に仕上げるため手間暇がかかり、一日につくる量も限られます。

 幸い、染料となる展勝地の桜の枝はしっかり天日干しで乾燥させて保管してあるため、「さくら染め」の作業は通年行えます。そのため、本来であれば時間があるときに商品をつくってストックしておくことも可能です。

 しかし、紫外線や蛍光灯の光にも影響を受けるデリケートな草木染めだからこそ、展勝地の桜のやさしい色合いを映し込んだ「さくら染め」だからこそ、少しでも多くのお客さまに「染めたて」を楽しんでいただきたいという敏孝さんの「色」に対する深いこだわりが、そこにありました。

 そんな想いを聞いてしまうと、使うのがもったいなくなってきますが、「どんどん使ってください」と敏孝さん。

「さくら染めは紫外線や蛍光灯の光の影響も受けやすいデリケートなもので、そのまま置いておいても時間が経てば色が少しずつ落ちてきます。ですから置いておくのであれば、表に出しておくのではなく箪笥の中などで保管しておく方が安心です。

 でも、それではもったいない(笑) 

 展勝地のキレイな桜色を、いつも身近に楽しんでいただきたいので、どんどん使っていただきたいと思っています。それで汚れても、水洗いして陰干ししていただければ大丈夫ですし、むしろそちらの方が色が長持ちするぐらいです」

 そう言って笑顔を浮かべる敏孝さん。展勝地の桜の美しさを多くのヒトに……。そんな想いを込めて、敏孝さんは今日も「さくら染め」と向き合います。

◇染めの工程

敏孝さんは展勝地の天然の美しい桜色を出すため、「二度染め」を行っています。一度目は、淡く。そして、二度目にしっかりとした桜色に。

展勝地の桜の枝から抽出した染料は、化学染料不使用。展勝地の美しい桜色を多くのヒトに楽しんでいただくため、敏孝さんは作り置きもせず、
ひとつひとつ手作業で丁寧に仕上げ、「染めたて」をお届けすることにこだわっているそう。
いざ、染めの作業へ。80℃に熱した染液に、生地が重ならないように注意しながら入れていきます。
ムラなく均一に染まるように、染液のなかで生地を泳がせるのがコツだそうですが、その時間も10秒前後とあっという間。
空気が入ってしまうと色ムラの原因になるため、それにも注意しながらの作業。敏孝さんの目も真剣です。

◇媒染の工程

美しい桜色を生地にしっかりと定着させるために、二度染めのあとに行うのが「媒染」という工程です。

1枚1枚丁寧に作業する敏孝さん。
この後、しっかりと水洗いをして乾燥させ、丁寧にアイロンがけをして完成です。水洗いは洗濯機を使って行いますが、
洗濯機で水洗いしたあとから、さらに敏孝さんが一枚一枚確かめるように手作業で水洗いをしている様子が印象的でした。
ちなみに、写真を見ると実際の商品より濃く見えますが、乾燥させると薄くなるそう。

着物が大好きだから。着物の魅力を多くのヒトに……。

 さて、「さくら染め」と合わせて「和の衣 さとう」がチカラを入れているのが、着物の魅力を多くのヒトに知っていただくこと。

 同店では敏孝さんが二代目を継ぐと、着物のことならなんでも請け負う悉皆業をベースに、小物も含めた着物全般の販売、さらには着付け教室や着物を着る機会を増やそうとさまざまなイベントも開催するように。敏孝さんとともに、その中心となっているのが、きもの研究家の女将・美津子さんです。

 千葉県出身の美津子さんは小さい頃から着物が大好きで、それにかかわる仕事がしたいと就職先に選んだのが、京都に本社がある東京・日本橋の呉服問屋。そこで修行中だった敏孝さんと出会って結婚し、この北上市に嫁いできて、「和の衣 さとう」の女将に。

「嫁いできた頃は、お姑さんと一緒に裁縫をしていました。『男のヒトが起きてくる前にひと針仕事しなくちゃならない』と言って仕事も一切手を抜かず自分に厳しいヒトでした。そういうお姑さんに習ったお陰で今があると思っています。

 ただ、私が嫁いできた頃は、例えばお客さまが派手な柄から地味な柄に染め替えをされたときも、そのままお渡ししていたんですよ。そういうとき、柄が替わったのならそれに合わせた帯も提案してあげたらお客さまにも喜ばれるんじゃないかと思ったんです。

 それで私が柄に合わせて帯もさりげなく提案するようにしてみたら、すごく喜ばれて、帯だけではなく帯揚げ(帯の上にのっている布地)や帯締め(帯の中央に結ばれている紐)の相談もされるようになったんですよ。

 それが好評で徐々に口コミでひろがっていって、悉皆業を中心に小物も含めた着物のトータルな提案や、基本的な帯結びから変わり結びまで、着付けの技術はもちろん着物を着たときの所作やマナーまでを含めた着付け教室も開催する今のお店のスタイルになりました。

 やっぱり私は着物が大好きなんですよね(笑) ですから、少しでも多くの方に着物の魅力を知っていただきたいし、気軽に着ていただきたいと思って、主人と一緒にいろいろなイベントを企画して取り組んでいます。

 そういう機会があれば、みなさんも着物を着るじゃないですか。それで外に出かけると、『キレイですね』とか知らないヒトからも声をかけられたりするんですよ。そうすると、やっぱりうれしいじゃないですか(笑)」

 そう言って楽しそうに笑う美津子さんですが、現在は自らも針を持ち、マスクづくりに大忙しの日々。それは世の中の役に立つことはもちろんですが、北上市の着物文化を陰で支えてくれている縫子さんたちのためでもありました。

昨年の「着付け教室」の様子。「和の衣 さとう」では、「前結び宗家 きの和装学苑」を母体に、
たった5分で簡単・キレイに着物の着付けができる「前結び」を取り入れ、着物文化の普及に努めています。
昨年行われた「夕涼み会」の様子。その他にも新年会、桃の節句、お花見、紫陽花・藤・向日葵観賞など季節のイベントを開催し、
みんなで着物を着て楽しむ機会を設けています。
取材に訪れた日も、お客さまが……。

国産にこだわって。お店も、縫子さんも、ともに次の世代へ……。

 京都の専門店やそれぞれの分野の熟練した職人さんたちと連携しながら、着物の仕立てからメンテナンスまで着物のことなら何でも請け負い、お客さまのご要望に合わせて愛着のある大切な着物を末永く着られるようにサポートしていくのが悉皆屋。

 その悉皆屋として北上市で60年以上の歴史を刻む「和の衣 さとう」では、着物の仕立て・お直しを請け負う際は地元の縫子さん7人(うち北上市は6人)にお願いをしているそう。

 ご多聞にもれず、着物業界でも仕立てなど縫製の仕事はコストを抑えるために海外へ発注する場合が多いそう。しかし、同店はすべて国産にこだわり、仕立て・お直しなど裁縫の仕事も地元の縫子さんたちに依頼。

「海外に頼っていないとはいえ、新型コロナウイルスの影響でうちのお店も縫子さんにお願いする仕事自体が減ってきています。

 ですから、何か仕事をつくらなくちゃと思ってマスクづくりをはじめました(笑)  お陰さまでみなさんにも好評で、縫子さんたちもフル回転です」

率先してマスクづくりに励む美津子さん。

 そう言って笑顔を浮かべる美津子さんですが、他にもうれしいことが……。

「ずっと京都や東京で働いていた娘が『お店を継ぐ』と言って3年前に戻ってきてくれました。しかも、お店だけじゃなくて『さくら染めも継ぐ』と言って、宮城県にある草木染めの教室に2年間通って勉強もしました。

 ただ心配なのが、着物については私がずっと教えてきているので、着付けの資格も取っていてこれから経験を積んでいけばヒトにも教えられるようになると思うんですが、さくら染めの方がね(笑) 

 娘は糸から染めるやり方で勉強しているんですけど、主人は生地を染めるやり方で20年以上やってきているでしょ。もう職人だからこだわりが強くて、しかも頑固だから、それでしょっちゅう2人でケンカして(笑)

 娘は娘で葛藤もあるんでしょうけど、こればっかりは主人も今さら治せないでしょうしね(笑)」

 そう言って楽しそうに笑う美津子さんと、横で苦笑いを浮かべる敏孝さん。仲の良い「悉皆屋」のご夫婦が、二人三脚で支える「和の衣 さとう」。新型コロナウイルスに負けずにふんばり、朗らかに笑うお二人の姿を見ていると、来年の展勝地の桜が楽しみになってきました。

 来年こそは、みんなで満開の桜の下で……。

三代目のお嬢さんと。ちなみに、この日にお嬢さんが着ている着物は、草木染めの染料として古くから使われているカリヤス(ススキに似たイネ科の植物)を用いて、
自身で糸から染め、着物に仕立てたものだそう。清潔感のある淡いグリーンの色合いが涼しげで、上品な印象。
帯は、野生で育った貴重な蚕の繭からつくったシルク(野蚕糸=やさんし)を使用したもの。
アジアンテイストな遊び心あふれるデザインも魅力で、そこには「おしゃれを楽しむ感覚で着物もカジュアルに楽しんでほしい」という想いが……。
色も鮮やかなで、デザインも遊び心あふれる手ぬぐいをマスクに。
こちらが抗菌・防臭効果のある竹を素材に使用したシート。竹素材の糸は、「さくら染め」の「Shawl 竹しぐれ」にも使用されています。
縫子さんたちの手で、ひと針ひと針丁寧に仕上げられていくマスク。
“焼け”た「さくら染め」もマスクに再利用。女性用のマスクは、口紅が内側につかないように男性用よりもマスクを高くしているそう。
そういう細やかな気配りも、人気の理由。
デザイン豊富な「和の衣 さとう」のマスク。
マスクのサイズは上より、大人用(男性・女性)、小学生用、幼児用をご用意。
幼児用のマスクも、かわいらしいデザインがズラリ!
お子さんにも大好評とのこと。
マスクを手掛ける縫子さんたち。
竹素材を使用した「Shawl 竹しぐれ」。

「さくら染め」はオンラインで購入も!

敏孝さんが手掛ける「さくら染め」は、お店の公式サイトでもご購入いただけます。 詳細は、こちら!

◇「さくら染め」は、ふるさと納税の返礼品にも。

詳細は、こちら! 

(了)

さくら染家 和の衣 さとう         

岩手県北上市鍛治町1-9-10

Tel/0197-64-0843

営業時間/10:00~19:00

定休日/第2・第4月曜日

2020-05-08|
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