孤高のグルメ〜きたかみ牛編~【第4話】岩手県北上市村崎野「がんこ亭」の北上コロッケ

 「子どもがまだ食ってる途中でしょうが!」

 名作ドラマ『北の国から』で、五郎さんが閉店間際のラーメン屋さんの店員に言い放った名セリフである。あれは確か、夏の日のシーンだったような……。

「五郎さん、かっこよかったな~」

 3月19日(金)の北上市の最高気温は11℃と新聞に書いてあったが、その言葉通り、日中はコートのいらないポカポカ陽気。

 公園のベンチに座り、夏のような青空を眺めながら、今日ランチで行くラーメン屋さんのことを考えていたら、ラーメン屋さんはラーメン屋さんでも『北の国から』で登場したラーメン屋さんのシーンがなぜか思い出され、五郎さんのかっこいい名セリフが浮かんだのだった。

「あんなセリフ、言ってみたいなあ~」

 と思いつつ、しかし五郎さんは五郎さんでも、こちらは人気グルメ漫画『孤独のグルメ』の主役・五郎さんリスペクトでお届けする「孤高のグルメ」だったことを思い出し、一気に空腹を覚える俺。時計の針はもうすぐお昼である。

「さあ、ランチだ!」

 向かった先は、国道4号線沿いに黒く屹立するラーメン屋さん「味噌家 がんこ亭」。見るからに頑固そうである。

 3月22日(月)まで絶賛開催中の「きたかみ牛フェア」スタンプラリーにも名を連ねる同店。

 他店はビーフシチューや焼肉、ハンバーグなど文字通り肉肉しいメニューが並ぶなか、こちらは自慢の「きたかみ牛」はもちろん、地元名物の二子さといもやアスパラなどを使ったB級グルメ「北上コロッケ」と「二子さといも餃子」でエントリー。

 肉質・味ともに国内最高水準を誇る「きたかみ牛」と粘りが強くコクがある「二子さといも」を使ったコロッケと餃子とは?

 こちらはこちらで旨そう! と期待に胸ふくらませて、たぶん「頑固」な店主がいるであろう店内に少し緊張しながら暖簾をくぐってみれば……。

  ウルトラマンから純愛ものまで、店内には昭和の名画ポスターがズラリ! 「頑固」は「頑固」でも「ロマンチックな頑固かな」と、ちょっと安心する俺。

「カウンター席にどうぞ」

 愛想のいい女性店員さんの案内で、店内奥のカウンター席へ。

 席について、ふと視線をあげれば、「いわて地産地消レストラン」の認定証が……。どうやらこちらのお店は、地元・北上市を中心に岩手県産の食材を積極的に使用する「地産地消」にこだわったラーメン屋さんのよう。

 メニューを見れば、納得! 北上名物、北上特産、岩手産などのワードが並び、「頑固」は「頑固」でも、地元にこだわる部分が「頑固なのかな」と、まだ見ぬ「頑固」であろう店主に少し好印象を持った俺は、緊張もちょっとゆるみがち。

 それはさておき、今日いちばんの目的は「きたかみ牛フェア」にエントリーされている「北上コロッケ」と「二子さといも餃子」に舌鼓を打つこと! 店内にはそのチラシも置いてあり、しぜんと期待値もあがる俺!

 というわけで、俺がオーダーしたのが、こちら!

 「岩手酒粕味噌ラーメン」と「北上コロッケ」+「二子さといも餃子」である。地元の食材にとことんこだわるお店とあれば、料理をオーダーする俺も、男として店主のその熱い想いには応えねばなるまい。と、ひとり意気込む俺。

 というわけで、本来ならこの日の目的である「北上コロッケ」と「二子さといも餃子」の紹介を最初に行うところだが、麵が伸びるのは店主にも申し訳ないので、まずはラーメンから実食!

 地元・北上の喜久盛酒造の酒粕と、同じく地元のとし子味噌でつくる「岩手酒粕味噌ラーメン」は、ひと言でいえば大人味の味噌ラーメンという感じ。

 味噌ラーメンというと味噌の濃厚な味わいが特徴だが、こちらは甘味のある酒粕の味わいの奥から濃厚な味噌の風味が上品に顔を出す感じで、こんもり添えられたキムチの辛味もアクセントになり、意外とさっぱり楽しめる。

 スープもとんこつスープのようだが、見た目ほどクセもなく、おいしくいただきました。酒好きには、飲んだあとの一杯としてもおすすめ!

 味噌ラーメンは他にもたくさんの種類があり、「他も食べてみたいな」と思いつつ、「いかん、いかん、食べることに集中しなくては」と俺。

 そして、次はいよいよ「北上コロッケ」と「二子さといも餃子」である。

 まずは北上市のB級グルメ代表「北上コロッケ」。同店では、ハニーマスタードを添えて提供しているそうで、その色合いも食欲をそそる感じ。

 黄金色に輝く衣は、サクサクした歯応えが食べる前から目に浮かぶよう。

 でも、中身は「じゃがいも」ではなく「二子さといも」が使用されているとのこと。さて、その味わいは……。

 というわけで、さっそく口に入れるとサクッとした衣の歯応えを通り越すと一変。ホクホクとした「じゃがいも」の食感ではなく、粘り気のあるクリームコロッケというか、「二子さといも」ならではの粘りのある、でもやわらかな食感にびっくり! 甘辛いハニーマスタードをつけると味もさらに確変。子どもも好きかも!

 続いて、「二子さといも餃子」。正直、さといもを使った餃子というものがピンとこず、「とりあえず食べてみないと……」と若干及び腰だった俺。

 しかし、食べてみると、「あ、おいしい!」

 粘りとコクが強い「二子さといも」を使用しているため、食感はふつうの餃子に比べればやわらかい印象だが、その分、粘りがあり、もっちりとした皮とこんがり焼けた部分のカリッとした食感のハーモニーも楽しく、こちらもどんどん箸が進む、進む。

 というわけで、「子どもがまだ食ってる途中でしょうが!」と言う暇もなく(もっとも、そもそも一人でご飯を食べに来ているので、そんなこと言えるわけもないのだが)、あっという間に料理もペロリ!

 もちろん、最後の仕上げにスタンプを押してもらい、店員さんにばれないようにひっそり微笑む俺……。

 今回のスタンプラリーのルールは、対象の飲食店で「きたかみ牛」を使ったメニューを注文するとスタンプが押してもらえ、それが2つ揃うと豪華景品がもらえる「きたかみ牛フェア」に応募できるシステム。

 同店でめでたく2個目のスタンプを押してもらえた俺は、「じゃあ、応募しておきますね」という店員さんの言葉に、「お願いします!」とペコリ<(_ _)>

 しかし、そのあと気持ちよくお店を出ようとを思ったら、店員さんが「どうぞ」とスタンプを押した新しいチラシを1枚……。

 「?」と俺。

 どうやら、同店で今回の「きたかみ牛フェア」の対象メニューを2品(北上コロッケと二子さといも餃子)オーダーしたため、スタンプも2個押してくれたそう。

 というわけで、3月22日(月)の締め切りも目前に迫り、俺としては同店でスタンプ2個が揃い、「これで応募できる」という計算のもと、「孤高のグルメ」〜きたかみ牛編~もこれで切りもいいし、ひとまず終了かな、と思ったのだが……。

 これは、「食べ続けろ」ということか。

 人気漫画『孤独のグルメ』の五郎さんよろしく、ひとり料理と向き合い、誰にも邪魔されず、気を遣わず、ものを食べるという孤高の行為に挑む今回の「孤高のグルメ」~きたかみ牛編~は……。

 「……まだ食べてる途中でしょうが!」

 なぜか『北の国から』の五郎さんの声が、遠くで聞こえた気がした。

★孤高のグルメ~きたかみ牛編~のバックナンバー

【第1話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市青柳町のとろとろビーフシチュー

【第2話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市北鬼柳の「まるぎゅう」3種カルビ焼肉 

【第3話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市大通り「レストランくさの」のハンバーグ

★豪華賞品が当たる! スタンプラリー「きたかみ牛フェア」の詳細はこちら! ⇒ きたかみ牛フェア

(了)

味噌家 がんこ亭

岩手県北上市村崎野19-296-5

Tel/0197-71-1133

営業時間/11:00~22:00(ランチタイム11:00~15:00)

定休日/不定休


2021-03-21|
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