孤高のグルメ〜きたかみ牛編~【第6話】岩手県北上市青柳町「巓升郭」の大串焼

暑さと空腹の末にたどり着いた「いわて飲食店安心認証店」。

 7月17日(土)から北上市は連日35℃を超える猛暑日が続いていた。ついこの間まではジメジメとした梅雨空が鬱陶しくて仕方なかったのに、あっという間に激変。この尋常じゃない暑さはいかがなものか……。急激な暑さに身体も慣れない。

 しかし、それでもヒトは腹が減る。人間とはそういう生き物なのだ。

 要するに何が言いたいのかといえば、今、俺は腹がペコちゃんなのである。

 というわけで、いつも通り俺は旨いものを探し求めて、北上市内の飲食店街・青柳町をふらふらと彷徨い続けた。時間は午後6時を回っている。

(どの店にしようか……)

 ふらふら歩いていると、暑さと空腹のせいでときより足がもつれる。すれ違うヒトが怪訝な顔をしながら視線を向ける。恥かしい俺は、しかし走り去りたい気持ちをグッとこらえ、その視線に気づかないふりをして何事もなかったように涼しい顔をしてゆっくりと歩き去る。

(ここで走ったら、怪しいやつだと疑われる。焦るんじゃない。俺は腹が減っているだけなんだ)

 いつものセリフを呪文のように唱え、なんとかその場をやり過ごし、ホッと安堵のため息をつく俺。

(あ~、今日も暑かった……。あ~、肉が食いたい……。肉と言えば、やっぱり、きたかみ牛だよな。「カーザ・ピッコラ」のとろとろ煮込んだビーフシチューに我を忘れた。「まるぎゅう」の3種カルビ焼肉定食は白飯が進んだ。「レストランくさの」のハンバーグはあふれ出す肉汁まで神々しかった。「がんこ亭」の北上コロッケや二子さといも餃子も顔がほころぶおいしさだった。「枕流亭」のローストビーフも赤身がまぶしく照り輝いていた。また食いたいなあ。ああ、肉が食いたい。ビールが飲みたい)

 気づけば、今まで訪れたお店のことで頭がいっぱいに……。

 そのチラシが目に飛び込んできたのは、そんなときだった。

(ほほう、これがウワサの「いわて飲食店安心認証店」か……)

 岩手県では新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、安全・安心に飲食店を利用するための目安となる認証制度を6月28日からスタート。

 それが「いわて飲食店安心認証制度」というもので、新型コロナウイルス感染防止対策として28※の項目を設定し、それをすべて満たした飲食店を「いわて飲食店安心認証店」として認証する仕組みだとか。

※28項目とは手指消毒の徹底、飲食時以外のマスクの着用、アクリル板・透明ビニールカーテンなどの設置、客席の間隔の確保、換気の徹底、使用者名簿の作成など。詳細はこちら!⇒ いわて飲食店安心認証制度

 ちなみに、その認証を得るためには、事前に申請を出し、県から委託を受けた調査員による検査を受けて合格することが条件となるそう。

 さらに、この認証を受けた飲食店さんが8月2日からスタートする「Go To EATキャンペーン第2弾」(5,000円分の食事券を4,000円で購入して利用可能!)の対象店にもなるとのこと。

「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……」

 人気グルメ漫画『孤独のグルメ』に登場する、我が敬愛する五郎さんもそう語る通り、『孤独のグルメ』をリスペクトするこのコーナー『孤高のグルメ』ではひとりで美食と向き合い、グルメを満喫するのがテーマ。そのため、飲食店に入るときは常にひとりで「黙食」、食べ終わったらひっそりと席を立ち、速やかにお店をあとにするのがモットーである。

 そんな俺であるから、日ごろから飲食店さんにはお世話になっており、それぞれのお店でコロナ対策をがんばって営業されていることは重々承知。それだけでも頭が下がるのに、そのうえでさらなる安全・安心のためにチャレンジされていると知り、さらに「頭を垂れる稲穂」状態……。

 気づけば俺は、「いわて飲食店安心認証店」のマークのある「炉端 巓升郭(てんしょうかく)」というお店の暖簾をくぐり……。

がんばる飲食店さんに乾杯! 新鮮な海の幸と岩手の食材を堪能!

 三陸・函館・八戸・気仙沼などから直接仕入れる新鮮な魚介類をはじめ、岩手の食材をふんだんに使用した料理が自慢だという同店。お刺身はもちろん、焼き物、揚げ物とメニューも豊富で、そのなかには「きたかみ牛」を使った一品も!

 しぜんとにやける俺。ふと見上げれば、コロナ対策にご協力とご理解を促すパネルが……。

(コロナ対策、ご苦労さまです<(_ _)>)

 岩手県が設定する28のコロナ対策のチェック項目をすべて満たしているという安全・安心の環境のなかで、ひとり同店のメニューと向き合う俺。

 本当は「きたかみ牛」を注文したいところだが、新鮮な魚が自慢とあれば、まずは「本日のおすすめ」から。

 「函館直送! 活スルメイカ活け造り」「気仙沼産! 真あじ活け造り」「山田産!天然岩カキ」と、目移りするメニューがずらり。

 その中から一番上にあった「三陸産 白身三点盛り」「活たこ刺し」をオーダー。

 真綿の雪のような、と表現すれば、少しは暑さもやわらぐかな。というぐらい、白さ際立つお刺身たちが並び、ニンマリ。アイナメ、ヒラメは淡白な白身魚にあってしっかりとした旨味があり◎。今回初めていただいたアナゴは臭みもなく、ムチムチとした食感とほんのりとしさ甘さがクセになるおいしさ。さらにプリプリのタコも新鮮で、ビールが進む進む!

 おすすめの料理に舌鼓を打ったあとは、そろそろお目当ての「きたかみ牛」へ。ステーキ、タタキ、サイコロステーキとメニューはいろいろあったが、ここは豪快に「大串焼」をオーダー!

 待っていました! とばかりにかぶりつけば、ほどよい歯ごたえとともに、噛みしめるたび肉の旨味が口のなかにひろがる愉悦のひととき!

(うん、うまい肉だ。いかにも肉って肉だ)

 五郎さんの名言を、つくづく実感する俺。

 ボリューミーな大串焼を堪能した俺は、ビールから日本酒にシフト。同店は日本酒の種類も豊富で、この日は「イカゴロ焼き」(イカのフワタ焼き)を肴に、北上市と国道107号線でつながる秋田県由利本荘市の酒「雪の茅舎」のふくよかで上品な味わいに心地よく酔うひととき。

 さらにお酒も進み、「ハマグリ焼き」もオーダーとあれこれ頼んでいるうちに、気づけば今回もこのコーナーの趣旨は人気グルメ漫画『孤独のグルメ』リスペクトから、酒場という聖地へ酒を求め、肴を求めさまよう人気番組『酒場放浪記』オマージュへ。

 まあ、良いではないか(*´艸`*)

 「いわて飲食店安心認証制度」という飲食店の新しい取り組みも知ることができたわけだし、8月2日からGo To EATキャンペーン第2弾もスタートするわけだし。『孤独のグルメ』ならぬ、『孤高のグルメ』の今後も楽しみな、猛暑の続く北上市の夜に、乾杯!

★孤高のグルメ~きたかみ牛編~のバックナンバー

【第1話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市青柳町のとろとろビーフシチュー

【第2話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市北鬼柳の「まるぎゅう」3種カルビ焼肉 

【第3話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市大通り「レストランくさの」のハンバーグ

【第4話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市村崎野「がんこ亭」の北上コロッケ

【第5話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市川岸「枕流亭」のローストビーフ

(了)

北上居酒屋 炉端 巓升郭(てんしょうかく

岩手県北上市青柳町1-2-32

Tel/0197-63-3906

営業時間/17:00~23:00(ラストオーダー22:30)

定休日/日曜日

2021-07-27|
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA