人気グルメ漫画『孤独のグルメ』の五郎さん風に言えば、「とにかく腹が減っていた」。
この日は仕事が立て込み、ランチもコンビニのサンドイッチで済ませる始末。その分、夜飯を楽しみにしていたのだが、気づけばズルズルと忙しさは続き……。
春が近づいているとはいえ、3月初旬の北上市はまだまだ寒い。
夜風に震えながら、ひとり飯屋を探す「腹がペコちゃん」な俺は、腹が減っているからこそ旨い飯を食って、寒さに震える体を胃袋から常夏気分にして喜ばせてやろうと歩いていると、目に飛び込んできたのが「なまめかしいきたかみ牛 ことこと煮込んだビーフシチュー」という誘い文句。
「きたかみ牛」とは、肉質・味ともに国内最高水準を誇る北上市産の黒毛和牛のこと。平成5年度には、肉牛農家が丹精込めて育てた牛を専門家が審査し、品質を競う年1回のイベント「全国肉用牛枝肉共励会」において、最優秀賞も受賞しているブランド牛だ。
その肉を使ったビーフシチューとはなんとも贅沢だが、すっかり腹ペコちゃんのうえ、寒さにも震える俺の胃袋へのご褒美としては最高じゃないか!
はやる気持ちをおさえて店内に足を踏み入れると、出迎えてくれたのは、積み重ねた時間を感じさせる落ち着いた雰囲気が印象的なインテリア。
奥の席では、60代ぐらいのご夫婦が仲良くお食事中。何を食べているのか気になるところだが、じろじろ見るのは無粋。素早く席についてメニューを見れば、このお店はボリューム満点のPIZZAや海の幸が入ったトマト味のスープパスタなどが人気らしい。
1976(昭和51)年創業、ということは、もうすぐこの地で半世紀……。地域に愛される名店とも知らず、のこのこ踏み込んでしまったのか俺は……。分不相応じゃないか?
いや、待て。焦るんじゃない。俺は腹が減っているだけなんだ。食べたいと思った料理を注文して、おいしく食べて帰ればいい。
そもそも「モノを食べるときにはね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……」と五郎さんも言ってたじゃないか。
となれば、あとは自分が食べたい料理とひとり向き合うのみ。人気のスープパスタも良いかも、と食べたいものが多すぎて、早くも気持ちがぶれだす始末。
そんなとき、目に飛び込んできたのが、このチラシ。
なになに。ふむふむ。要するに、ただいま北上市内の対象飲食店で「きたかみ牛」を使った料理を食べてスタンプを2つ集めると、市内温泉旅館ペア宿泊券や、きたかみ牛ヒレステーキセットなどが抽選で当たるスタンプラリーを開催中! とのこと。
対象となる飲食店も、ラーメン屋さんから焼肉屋さんはもちろん、和食屋さん、ステーキ屋さん、イタリアンなどバラエティ豊か。ただし、期間は3月22日(月)までって、あと10日しかないじゃないか!
となれば、もうメニューに迷いはない!
俺は五郎さんの流儀にならって、ウエイトレスさんに「できるだけ物おじせずハッキリ」言った(注文を聞きかえされるのはやっかいだ)。
「ビーフシチューください!」
たっぷりマーガリンを塗ったカリカリのガーリックトーストをビールで流し込み、
生ハムやメロンの前菜にますます食欲が刺激され、ワクワクしながら待つこと20分ほど。
じっくりことこと煮込んだ「きたかみ牛のビーフシチュー」と、ついにご対面!
ひと口食べれば、ほどよい酸味がクセになる深みのあるソースの味わいが絶品で、きたかみ牛も口の中でとろとろととろけるような旨さ!
北上の地でおよそ半世紀の歴史を刻む名店の味わいにすっかり満足していると、70代ぐらいのロマンスグレーがひとりでご来店。この方も、「孤独のグルメ」もとい「孤高のグルメ」を愛するご仁か?
カウンターに座ると、何も注文しなくても赤ワインのグラスがロマンスグレーのご仁の目の前に。それにつられて、俺もさっそく赤ワインを……。
もちろん、「きたかみ牛のビーフシチュー」と赤ワインとの相性も抜群で、ペコちゃんだった俺の腹も「これはボーノ、ほのボーノ」と五郎さん風に大満足!
最後の仕上げにお店のスタンプを押してもらうと、俺は店を後にしたのである。
スタンプはあと1つ……。
「CARZER PICOLA」(カーザ・ピッコラ)さん、ごちそうさまでした<(_ _)>
★豪華賞品が当たる! スタンプラリー「きたかみ牛フェア」の詳細はこちら! ⇒ きたかみ牛フェア
★孤高のグルメ~きたかみ牛編~のバックナンバー
【第2話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市北鬼柳の「まるぎゅう」3種カルビ焼肉
【第3話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市大通り「レストランくさの」のハンバーグ
【第4話】はこちら! ⇒ 岩手県北上市村崎野「がんこ亭」の北上コロッケ
(了)
岩手県北上市青柳町2-4-22 1階
営業時間/17:00~26:00
Tel/0197-65-1955
定休日/不定休
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