夏の忘れ物。

とある夏の日、運命の出会いにドキドキ!

「夏の忘れ物」と聞いて、「渚に散ったひと夏の恋の物語」だと思ったロマンチストな方がいたら、ごめんなさいm(_ _ )m

 今回は、ひと夏の恋の話ではなく、アラフォー男子の物忘れの話。

 前回のきたかみ通信で「ミッシェルで朝食を」のコラムをまとめているとき、「何か忘れてるな……」というモヤモヤした気持ちを抱えていました。

 しかし、「えづりこ古墳公園」の写真のキャプションのところで、「忘れたものが何か?」を思い出してスッキリ!

 20年以上暮らした東京を離れ、岩手県北上市に移住したのが今年の7月中旬のこと。仕事は8月1日からスタートするため、予定がない日の私は北上市のアチコチを探索していました。

 7月といえば、世の中は「土偶女子」に注目が集まるなど縄文ブームがジワジワと広がっている頃。「縄文にハマる人々」なるドキュメンタリー映画が公開されて話題となり、東京国立博物館では縄文時代の国宝が初めて一堂に会する特別展「縄文―1万年の美の鼓動」が開催されていました。

 かくいう私も同じ頃に土偶の魅力を紹介したNHKの番組を観て、思わず土偶のフィギュアを購入。“にわか縄文ファン”となっていた私は北上市に来て「ミッシェル」で焼き立てのパンを食べるついでに隣にある「えづりこ古墳公園」をめぐり、北上市にも多くの遺跡があることを知ってうれしくなりました。

私の土偶コレクション……といっても、カプセルトイですが  f^_^;

「えづりこ古墳公園」は芝生も鮮やか。遊具もあって、休日は子ども連れのご家族に人気のスポットです。

 「ミッシェルで朝食を」でも触れましたが、「えづりこ古墳公園」は国指定史跡・江釣子古墳群の玄関口にあります。しかも、緑鮮やかな芝生が広がる園内には、北上市ゆかりの遺跡群や出土した土器や仮面などの一部を紹介するモニュメントが点在。

 

 さらに、太古のロマンに誘う古墳をイメージした「カムイヘチリコホ」(アイヌ語で“神々の遊ぶところ”の意味)なる石造りの神秘的な建造物や、木立ちのなかをめぐる古墳散策コースなどもあり、“にわか縄文ファン”となっていた私の好奇心を気持ちいいぐらいにくすぐってくれました。

 その公園で出会ったのが、およそ30カ所にストーンサークルが点在し、丘の上には竪穴式住居も復元されているという「樺山遺跡」を紹介したモニュメント。

(ストーンサークルが30カ所も?! これは行くしかないでしょ!)

私は“にわか縄文ファン”の意地とプライドをかけて、さっそく行動に移しました(/*´∀`)o レッツゴー♪

 

イギリスのストーンサークルを想像して出かけたら……。

 テンションマックスの私が向かった「樺山遺跡」は、 JR北上駅から車で20分ほど走ったところにありました。1951(昭和26)年に発見されたというこの遺跡は北上川の東岸に位置し、西南に傾斜する標高およそ100mの丘陵上にあります。駐車場の脇には「縄文館」なる施設がありましたが、ストーンサークルを早くみたい私は、一目散で遺跡のある敷地に足を踏み入れました。

 緑鮮やかな芝生に、夏の朝の日射しが反射してまぶしいほどキラキラと輝いています。私の期待も高まるばかり(*´m`)ムフフ しかし、そこで私の足が止まりました。イギリスにある有名なストーンサークルは、大きな石が並ぶ壮大なもの。しかし、私の目の前に現れたストーンサークルは……。

(か、かわいい!! (o^^o)ふふっ)

 それは、およそ1m四方の空間におさまるぐらいの小さなストーンサークルで、配石遺構と呼ぶようですが、細長い石を立てた周りに放射状に石を並べた姿が、なんともこじんまりとしていて、イギリスのストーンサークルに比べて謙虚でかわいらしい……。そうしたものが、アチコチに点在しています。

  

 これは、帰りに立ち寄った駐車場脇にある「縄文館」の紹介ビデオを見て知ったことですが、このような配石遺構が何のためにつくられたものかは現在も謎とのこと。「日時計」と考えるヒトもいれば、「お墓」だという意見もあり、「祭り」の場だという説もあるようです。

 ただ、樺山遺跡では墓かどうかをみるため、石組みの下の土を分析しましたが、墓としての確かな証拠は得られなかったそうです。謎は深まるばかり! “にわか縄文ファン”としてはワクワクがとまりません!ワクo(´∇`*o) (o*´∇`)oワク

 かわいいストーンサークルをひとつひとつ見物し、ふと顔をあげてみれば、丘の上には古代の竪穴式住居を復元したものが! このあたりにはおよそ4,000年前から5,000年前の縄文時代の集落跡があったとのこと。

(すごい!)

 街の喧騒から離れ、周りには田園風景が広がるなど、のどかな時間が流れるこの空間に立ってみると、時空を超えて縄文時代の村に訪れた気分。家の裏から縄文時代の子どもたちが駆け出してくるのでは?  なんて期待感もわきおこってきて、ワクワクします。ワクo(´∇`*o) (o*´∇`)oワク 

 

夏の忘れ物。それは……。

 すっかり縄文気分を満喫した私が、最後に立ち寄ったのが、樺山遺跡に隣接する「縄文館」。無料で利用できる同施設の館内には、樺山遺跡に関する資料の展示や、樺山遺跡を紹介した映像も見られると知って、トイレ休憩がてら立ち寄り、映像を見せてもらいました。

 そして、そこで出会ったのが、樺山遺跡の丘から眺める夕陽の美しさ。これは見るっきゃないと思いましたが、その日は暑さを極力避ける目的で午前の早い時間に訪れていたため、「近いうちにまた来よう!」と固く誓ったのが7月下旬のこと。その決意は石よりも固かったはずなのに……。

 そうなのです。それから、なんだかんだで10月になり、「ミッシェルで朝食を」なるコラムをまとめる日まで、樺山遺跡から夕陽を眺める計画のことはすっかり忘れていたのです。なんたることか……。アラフォーの物忘れのひどさたるや、恐るべし!  これではいかん、と意を決した私は10月中旬、雨の日が続いたなかでエアポケット的に晴れたある日、樺山遺跡で夕陽を眺めるべく、いざ出陣(/*´∀`)o レッツゴー♪

 そこで待っていたのは……。

縄文時代の人々も、こんな風景を眺めていたのでしょうか……。忘れるのも、いいものです。こんな美しい風景に出会えるのですから (o^^o)ふふっ

今回は「夏の忘れ物」のお話でした。

 

(了)

樺山遺跡(国指定史跡)

北上市稲瀬町大谷地316

 

樺山歴史の広場  縄文館(無料)

樺山遺跡に隣接する資料館です。館内では樺山遺跡の資料を展示している他、樺山遺跡を紹介した映像もご覧いただけます。

Tel/0197-65-5897

営業時間/9:00~17:00

定休日/月曜日、12月~3月(冬季休館)

駐車場/あり

2018-10-16|
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