伝えたい「音」と 届けたい「想い」が響き合う。 さくらホール バックステージツアー見聞録。

みんなに届け! ステージの感動を、美しくクリアに、隅々まで。

 8月8日の北上市、今にも雨が降り出しそうなどんよりとした空模様のなか、私が向かったのは北上市文化交流センター「さくらホール」

 この日は午前10時から「さくらホール」の大ホールにて、リニューアル工事を終えたばかりのスピーカーの魅力を堪能できるバックステージツアーが開催されると知り、参加してみることに。

 イベントが開催されるときだけ賑わう公共ホールではなく、いつでもヒトで賑わう“まちの文化広場”をめざして2003年に誕生した「さくらホール」は、北上市の公共施設です。

 しかし、「民間の発想で自由に運用できるようにしよう」と、同ホールの管理運営を「一般財団法人 北上市文化創造」が担当。それにより、休館日のない365日オープンに加え、大晦日も深夜までライブを行う企画も成功するなど、公共ホールの常識にとらわれない自由な発想で、さまざまな催し物を企画・実施するホールに。

 その会場となる施設も多様。1503人を収容する大ホールを筆頭に中・小のホール、ミュージックルーム、録音スタジオ、ダンススタジオ、さまざまな趣味を楽しんだり絵画やフラワーアレンジメントなど創作活動に活用したりできる多目的ルーム・和室など24の施設があり、稼働率は年間9割を超えるそう。

 さらに、どなたでも利用できる共有スペースでは高校生や一般の方が勉強したり読書したりする姿が当たり前の光景として見られるなど、多くのヒトに愛されている「さくらホール」ですが……。

 新型コロナウイルスの影響により、さまざまなイベントが休止となり、感染拡大に伴う緊急事態宣言により、4月22日(水)から5月7日(水)までは年中無休だった同ホールも臨時休館に。

 緊急事態宣言が解除されて以降は、北上市の方針に則り、さまざまなコロナ対策を行いながら5月8日(金)より営業再開となりましたが、ホール内にヒトの姿は……。

 そうしたなかで6月1日からおよそ2カ月にわたって行われた今回のスピーカーのリニューアル工事。その狙いは……。

「さくらホールオープンから17年。経年劣化により故障が頻発しはじめ、舞台運用に支障をきたすことが予想されることから更新することとなりました。

 更新にあたり、担当者は10年以上前から劇場用スピーカー試聴会に出向き、今後の運用にマッチする製品の検討を続けてきました。  

 さくらホールでは独自の企画公演も多くあり、また全国レベル、世界レベルの演目も開催されます。

 そうしたことから、それらの高度な演出要求にも対応可能な性能・品質を持ち、しかも大ホール全席一様に明瞭度のある音を届けられる設備を、と計画しています」

 (月刊さくらホール<2020年5月号 vol.25>より)

 とのこと。要するに1階の最前列でも3階の最後列でも、どの席に座ってもみんな均一にクリアな音が楽しめるようにするためのスピーカーのリニューアルとなるわけですが、そのために市が投じた額は約1億7000万円。

 さらに、そのスピーカーは担当者の方が10年以上前から劇場用スピーカーの視聴会に出向き探し求めてきたもので、NHKホールでも使用されているフランス製の最新鋭。しかも、複数のスピーカーを連結させ、広いホールでも均一でクリアな音が届けられる「ラインアレイスピーカー」なるものが導入されたとのこと。

 そんなにすごいものが導入されたのなら、しかもそれをわかりやすく教えてくれるバックステージツアーがあるというのなら、“一見”ならぬ“一聴の価値あり”ということで参加してまいりました<(_ _)>

▲今回のツアーは、もちろんコロナ対策もしっかり! 入口で検温が行われ、全員マスク着用、ソーシャルディスタンスをきちんとまもってのツアーです。
ちなみに「さくらホール」では、「となりは、思いやりの指定席」として、ソーシャルディスタンスをまもって
ひとりひとりが安心してイベントを楽しめるように取り組んでいます。

▲バックステージツアーで配られた資料。

いざ、バックステージツアーが開幕!  さまざまな実験で「音」を体感!

 というわけで、バックステージツアー「夏休み新スピーカースペシャル」がスタート!

 ふとステージを見れば、中央には今回の主役「スピーカー」が堂々と鎮座しています。が、こちらは実験用。

▲会場はもちろん1503人収容の大ホール。舞台には実験用のスピーカーが……。

 今回リニューアル工事を終えた大ホールのスピーカーは、ホール前方の両脇と天井に集約。さらに補助スピーカーを各所に分散配置しているそうで、そのスピーカーひとつひとつにスポットライトが当てられており、会場でもひと際存在感を放っています。

 こうしたスピーカーを連動させ、会場の隅々まで美しくクリアな音が届けられるように配慮されているのが今回のスピーカーリニューアルであり、その仕組みをさまざまな実験を通してわかりやすく紹介してくれたのが、今回のバックステージツアーです。

 今回はチビッ子も多く参加するということで、「音って、なに?」というところからはじまり、「音を見てみよう」「音には速度がある」など、「音」の伝わり方の基本となる10の項目を、体験を通して学びました。

▲バックステージツアーで配られた資料の中面では、今回実験する10の項目が紹介されていました。

 なかでも印象的だったのは、「音はどっちから聞こえる?」という実験。

 どんな実験かというと、左右に1つずつスピーカーを配置し、同音量で音を流します。ただし、右側のスピーカーの音を左側のスピーカーより少し遅らせて流すのですが、そうすると左右とも同じ音量なのに、なぜか左側からだけ音が聞こえてくるように感じるというもので、実際聞いてみると、確かにその通り!

 これは「ハース効果」と呼ばれるもので、「同じ音を、複数の方向から、同音量で流したとき、聞くヒトの耳に最も早く到達した音の音源の方向からすべて聞こえてくるように感じる」現象だそう。

 今回のスピーカーのリニューアルでは、ホール前方の両脇と天井、さらに補助スピーカーを各所に分散配置しているそうですが、「ハース効果」も利用して、1階の最前列から3階の最後列まで、ひとりひとりにクリアで美しい音が届くように計算されていると知って、改めて「すごい!」と実感。

 誰かに教えてあげたくて、今回、記事にしてみた次第です(笑)

正面の両サイドにあるメインスピーカーと、3階に向けられたサブスピーカーとの間の音が伝わる時間も計測。
「ハース効果」を利用して1階から3階まで、隅々のヒトに音が美しくクリアに伝わるようにコントロールしているそう。

 というわけでバックステージツアーの最後は、リニューアルされたスピーカーから流れる音楽を聞きながら、ホールを自由に散策。

 1階の最前列から3階席まで、参加者は自由に歩き回りながら、その音を実際に自分の耳で堪能して、バックステージツアーは終了に。

 コロナ禍でエンターテインメント業界もまだまだ先が見通せない現在ですが、またたくさんのヒトがこの大ホールに笑顔で集えるようになったとき……。

 このスピーカーたちが、ステージの感動を、美しくクリアに、隅々まで届けてくれることでしょう。その日を楽しみに……。

(了)

さくらホール バックステージツアー~夏休み新スピーカースペシャル~

開催日時/2020年8月8日(土)10:00~12:00

会場/北上市文化交流センター さくらホール(大ホール)

参加料/無料

参加資格/どなたでも(小学生以下は保護者同伴)

2020-08-11|
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