モスラの生態にワクワク。子どもたちを魅了する養蚕体験。
「あっ、葉っぱ、食べてる!」
「かわいい!」
「すごい、吸いつくよ!」
「プニプニする!」
「あっ、ウンコした(笑)!」
9月29日(日)、北上市更木地区にある「更木ふるさと興社」で行われた養蚕体験イベント。その会場となった農業用ハウスのなかは、蚕(カイコ)と触れ合う子どもたちの歓声であふれていました。



家畜として人間に飼われてきた生き物だから。

人間が飼育してあげないと生きられないようになったそう。それほど人間の暮らしとゆかりの深~い生き物なのです。






放置された桑畑で地域活性化を。「更木ふるさと興社」の挑戦。
「更木ふるさと興社」のある更木地区は、かつてカイコを飼育し、繭(まゆ)を生産する養蚕業が盛んだったそう。
しかし、時代の流れとともに養蚕業は衰退し、カイコの餌となる桑畑も放置されていました。その桑畑を地域活性化に役立てようと、2009(平成21)年に設立されたのが「更木ふるさと興社」。
同社では当時、独自の成分やミネラル分も豊富な桑の葉が健康面でも注目を集めていたことから、「更木桑茶」や「桑麵」など桑の葉を使った商品を製造・販売するように。現在それらの商品は、地域の名産品として愛されるまでに育っています。

その生葉を摘み工場へ直送、そこからさらに厳選した茶葉を使用してつくるくわ茶は、桑成分をたっぷり含んだノンカフェインの健康茶。
小さなお子さんから妊娠中の方など、カフェインが気になる方も安心してお飲みいただけると好評です。

こちらは、養蚕業の担い手がなく放置され、林となってしまったところをもう一度再生した桑畑だそう。

養蚕業の復活へ! 「モスラ復活プロジェクト」に夢を!
そんな同社が現在進めているのが、「モスラ復活プロジェクト」。近年、カイコやシルクに含まれる成分が、健康や美容面でも注目されるように。
そこで同社では、カイコやシルクを使った健康食品の開発に取り組む岩手大発のベンチャー企業「バイオコクーン研究所」(盛岡市)と連携することで、衰退が著しい養蚕業を復活・再生。
さらには、カイコやシルクを使って健康食品など新たな産業を創出するだけでなく、地域活性化にもつなげたいと意欲的に取り組んでいます。

そのうちのひとりが、この日「カイコ先生」として登場した北上市地域おこし協力隊の松岡 冴(さえ)さん。
松岡さんは、今年の5月から北上市と「更木ふるさと興社」が協働で進める「将来の養蚕経営者プロジェクト」に参加し、将来の養蚕経営者になるべく活動中です。

松岡さんは、東京都出身。京都造形芸術大学で染織テキスタイルなどを学びながら、自分で飼育した5千頭のカイコからつくった絹糸で着物を縫いあげた経験もあるほど、カイコ愛が深い方。
そんな松岡さんが自身の経験を織り交ぜながらカイコの魅力を語ると、子どもたちだけでなく大人も興味津々に。
「桑の葉はどこから仕入れていたんですか?」
「私もカイコを育てたことあるんですけど……」
などなど、さまざまな質問や相談が次々に飛び出し、カイコと楽しく触れ合う子どもたちと同様、大人たちにも有意義な時間になった様子。




一方、写真手前の生糸は4デニール。どれだけ細くできるか、試しにつくってみたものだそう。その細さと強さにみんなびっくり!



小さなモスラたちとともに、更木地区の未来を切り拓く。
養蚕体験の最後は、来年の干支にちなんで、ねずみの親子が餅つきをする様子を、カイコの繭を使ってつくる繭細工の体験を経て無事終了。
カイコの魅力をたっぷり堪能した1日となりました。この日、印象的だったのが、大きなカイコに交じって、小さなカイコがいることを発見した子どもたちの様子。
カイコを育てている農業用ハウスでは、成長日数に合わせて、カイコたちを分けて育てていました。しかし、なかには何かの拍子にお兄さんやお姉さんのグループに、ひと回り小さなカイコがまぎれこんでいることも……。
そういうカイコがいることを知った子どもたちは、大きなグループにまぎれこんでいる小さなカイコはいないかと一生懸命探すことに。
同じように成長する仲間たちと一緒に、すくすく大きく育ってほしい……。小さなカイコを探す子どもたちからは、そんなやさしい想いが感じられました。
小さな4万頭のモスラたちとともに、少しずつファンをひろげ、養蚕と地域の未来を育む「モスラ復活プロジェクト」。どのようにその可能性をひろげていくのか、今後が楽しみですね!

(了)

株式会社更木ふるさと興社
岩手県北上市更木22-9-2
Tel/0197-81-6136
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