自分のまちの“戦争”とは? 教科書には載っていない、地元の“戦争”を次代へ。

ドキュメンタリー映画『戦争の足跡を追って 北上・和賀の十五年戦争』
北上上映会に参加して。

 最北の特攻出撃基地が北上市にあった……。

(なんで北上市に?)  

▲ 北上市文化交流センター「さくらホール」

 1月15日(土)、北上市文化交流センター「さくらホール」で、ドキュメンタリー映画『戦争の足跡を追って 北上・和賀の十五年戦争』の上映会が開催されました。私がそのドキュメンタリー映画に興味を持ったのは、そんな「なんで?」がきっかけでした。

 東京から北上市に移り住んで3年が過ぎましたが、当然、未だに知らないことだらけ。そのなかでも「戦争」についてはなかなか接点がなく、学ぶ機会もありませんでした。

 しかし、北上市には軍用機の材料となる金属アルミナを生産した「国産軽銀岩手工場」なる国策会社があったり(なんで北上市に?)、日本軍用機のトップメーカーのひとつだった旧中島飛行機の地下工場建設跡地があったり(なんで北上市に?)、7,000通の軍事郵便を展示する展示館があったり(なんで北上市に?)、それこそ最北の特攻出撃基地があったり(なんで北上市に?)……。と、ふだん暮らしていると断片的に戦争にまつわるいろんな「なんで?」に触れる機会はあったのです。

 しかし、興味はあったのですが、後ろ髪を引かれつつも慌しい毎日に流され、それらの「?」を解決する努力をしてきませんでした。

 そんなときに今回のドキュメンタリー映画の上映会があると知り、さっそく足を運んでみたのでした。

▲映画のパンフレット

 このドキュメンタリー作品を手掛けたのは、地元・北上市を拠点に活動する双子の映画プロデューサーさん。お二人の祖父が北上市で空襲を体験されており、小学生の頃にその祖父から戦争体験を聞いたことがこのドキュメンタリーを撮るきっかけになったとのこと。

 教科書やメディアが取り上げる戦争は「日本」という大きな枠組みの中で語られているため、なかなかそれぞれの「地域」の戦争に触れる機会はありません。

 しかし、今回の映画は地元のヒトが撮る、地元を舞台とした戦争のドキュメンタリー……。

 出演するヒトも、地元で戦争を体験したヒトたち……。

 となれば、私のいろんな「なんで?」も解決できるのでは、と思って参加したのですが、上映された作品は私の勝手な期待を上回っており、106分の上映時間もアッという間に過ぎていきました。

 登場する方は地元で戦争を体験した方であり、その中には特攻隊だった方もいて、80歳~90歳代の方も多く、ご本人の言葉で貴重な戦争体験に触れることができました。

 戦後から70年以上が過ぎ、当時を知る方もどんどんご高齢となり、亡くなられる方も多く、戦争の記憶をどのように次代につないでいくのか、難しい時代となってきています。もちろん、それぞれの地域の図書館に行けば、そうした資料も揃っているのでしょうが、当事者が語る戦争の記憶に触れられる機会は今後どんどん貴重なものとなっていくように思います。

 そういった意味でも、今回のドキュメンタリー映画は見応えがありました。

 もちろん私のいろんな「?」も解決できました。しかし、ここで私がその詳細を語るよりも、実際に映画を観られた方が良いと思うので、その内容については触れませんが、北上市で起こった「戦争」を知る最初のとっかかりとしてまずこちらのドキュメンタリーを観て、それからそれぞれ興味を持った分野を掘り下げていく、というのがおすすめです。

 

◇ドキュメンタリー映画の詳細はこちら!▶▶▶ 戦争の足跡を追って 北上・和賀の十五年戦争

(了)

2022-01-17|
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