「企業のプレゼン力アップセミナー」リポート

 下の画像をご覧ください。こちらはハローワーク北上がまとめた資料で、右の赤枠が今年度(2023年度)の北上管内(北上市・西和賀町)での求人数と就職を希望する高校3年生の就職者数です。

▲ハローワーク北上の資料(2023年11月現在)より

 今年度は北上管内の177社から「805人」の求人がハローワーク北上に出されており、それに対して就職を希望している高校3年生の数は北上管内で「235人」となっており、人手不足の厳しい状況が浮き彫りになっています。

 さらに過去10年でみると好調な求人数に対して、就職を希望する生徒の数は年々減少しており、2013(平成26)年度の就職希望者数が「335人」に対して、10年後の2023(令和5)年度は「235人」となり、就職希望者の数は「100人」も減少しています。

 少子高齢化に加え、大学や専門学校などに進学する生徒が増えていることが原因とされていますが、就職希望の生徒の中には北上管外・県外を志望する生徒もおり、その数を引くと北上管内で就職を希望する生徒は「235人」から「128人」とさらに減少することに。

 こうした状況のなかで未来の主役となる若いヒトたちに「この会社で働いてみたい」と思ってもらうためには、企業の魅力や強みをきちんとわかりやすく届け、相手に理解してもらい、興味を持ってもらうことが重要です。

 また、そのスキルを高めることができれば、進学する生徒のほとんどが北上管内から出ていくなかで、そうした生徒の中でUターンを希望している生徒に対するアプローチにも活用することができます。

 というわけで、北上雇用対策協議会では1月19日(金)に企業の採用担当者向けセミナーを開催しました。

題して、

▲北上市文化交流センター さくらホール feat. ツガワで開催されたセミナーには、北上市内12の企業の採用担当者が参加。

 今回のセミナーは、中小企業や小規模事業者に向けて幅広い支援メニューを提供している「中小企業基盤整備機構 東北本部」とのコラボ企画です。

 講師はファッション業界で企画・営業に従事。その経験をいかし、現在は東京を拠点に中小企業の経営支援や販路開拓支援、人材育成、採用活動の支援など多岐にわたって活動する柳沢 隆氏(社会保険労務士法人 トゥービーワーク代表)が担当されました。

高校生に“伝わる”情報発信とは?

 気になるセミナーは、「高卒採用」にポイントを置き、大卒採用との比較も交えながら進行。

 一般的に就職情報サイトなどを活用し、学生自ら企業とやり取りする大学生に対し、高校生の就職活動はそれぞれの地域のハローワークに出された企業の求人票をベースに行われます。

 その際、企業の情報を知る手段が以前はハローワークの求人票頼りだったものが、ネットの普及とともに現在はハローワークの求人票をもとに写真や動画も活用した見やすい企業のホームページやSNSなどをチェックし、親や周りの意見も参考に自分の知りたい情報を集め、そこから気になる企業を見学するなどして応募する流れとなっています。

 つまり、現在はハローワークの求人票で高校生に興味を持たせ、自社のホームページやSNSなどに誘導し、そこで求人票には掲載できなかった自社の強みや高校生が知りたいと思う情報など、写真や動画も活用して採用ターゲットの心を掴むさまざまな情報を発信していくことが重要になっています。

 そうした状況を踏まえ、今回のセミナーでは自社の魅力を伝える“ツール”の活用方法や、自社の強みを上手にアピールするための材料の洗い出し・コンテンツの作成方法などを、グループに分かれ演習問題などにも取り組みながら具体的に学びました。

自社の魅力・強みに「働きがい」をプラス。人材定着も視野に。

 セミナーのなかで印象的だったのが、採用活動の取り組みはもちろん、入社後の「働きがい」をいかに充実させていくかが大事だということ。そしてそれが「3年以内離職」などの課題解決にも効果的で、「人材定着」を高めることにもつながっていくという部分です。

 仕事内容、賃金や休日、会社の雰囲気などの「働きやすさ」もわかりやすく伝えミスマッチを防ぐことはもちろんですが、そこに入社した場合の人材育成はしっかりしているか、自分の成長が期待できるか、それがきちんと評価されてキャリアップが図れるか、自己実現につながるか、地域や社会に貢献できるか……などの満足度が高く、それが「働きがい」へ、その先の「人材定着」へとつながっていくとのこと。

 人口減少、人手不足が進む今、今いる人材、これから入社してくれる人材が「働きがい」を持って仕事ができる環境をつくり、それを会社の魅力や強みと連携させ“伝える”ことが、例え時間がかかったとしても将来的には企業にとって有益だというお話は勉強になりました。

3/7、高校生と地元企業をつなぐ「企業情報ガイダンス」開催!

 来たる3月7日(木)には、北上地域を中心に盛岡・花巻・遠野・奥州・一関地域から就職を希望している高校2年生が、北上市文化交流センター さくらホール feat. ツガワに集合。その高校生に対して地元企業40社が自社の魅力をPRする「北上地域企業情報ガイダンス」が開催されます。

 今回のセミナーに参加した12社も同ガイダンスに参加するとのこと。就職を希望する高校生たちに、自社の魅力や強みが“伝わる”プレゼンとなりますように!

 セミナーに参加されたみなさま、お疲れさまでした。

(了)

2024-01-30|
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