北上市に来て5カ月。「北上の鬼は、怖くないって本当?」
北上市のブランドサイト「きたかみリズム」と「きたかみ仕事人図鑑」のコラボで実現した「20代の肖像」。その第3弾にご登場いただいたのが、福岡県出身の石澤裕也さん。
石澤さんは地元の大学を卒業後、大手不動産会社に就職。2018年9月に秋田県秋田市に転勤となり、とある出会いがきっかけで2020年1月から北上市のメガネ屋さんで働いている方です。
その詳細は「20代の肖像 Vol.3」の記事に任せるとして、北上市で暮らしはじめてまだ半年に満たない石澤さんは……。
「北上市と言えば鬼剣舞だと思うんですが、まだ本物を見たことがないんですよ。ぜひ一度見てみたいんですけど機会がなくて……。
仕事の関係で秋田市に1年3~4カ月ほど暮らしていたんですが、秋田と言えば『なまはげ』で鬼は怖いという印象です。
でも、北上市の鬼は怖くないというか、いいとらえ方をされているという話を聞いていて、そういう部分もとても興味があります。ですから、『鬼の館』にも行ってみたいんですよ。そういうことがわかるのかなと思って……」(石澤さん)
それでは「鬼の館」に行ってみましょう!
というわけで、「北上の鬼」を知りたいという石澤さんと、鬼をテーマにした北上市の博物館「鬼の館」へ、“3密”を避けて行ってみました。
古今東西の“鬼”が勢ぞろい! 「鬼の館」で出会う「北上の鬼」とは?
石澤さんのお休みが平日だったこともあり、出かけた日の「鬼の館」に人陰はなく……。そのお陰でゆっくり見学できました。
県をまたいだ地域間のヒトの移動が制限されている今……。それはひょっとしたら、今までは“ソト”にばかりいきがちだった眼差しを、改めて自分たちが暮らす地域に向けてみる機会にもなるのでは?
ということでスタートした今回の企画「地域を見つめなおす時間 in 鬼の館」。
北上市に来てまだ半年に満たない石澤さんは、他の鬼とは少し違う「北上の鬼」と果たして出会えるのか……。
「鬼の館」の展示ルームに足を踏み入れると、まさにそこは鬼の世界……。
日本の鬼の歴史をひも解き、鬼が登場する全国のお祭りが紹介され、各地の鬼のお面もずらり。その眼差しは海外にも向けられ、世界各地の鬼の文化と触れることができます。
そして、展示ルームの終盤に登場するのが、「鬼剣舞」の紹介コーナー。
「北上の鬼」には、なぜ角がないの? それは……。
「鬼剣舞」で使用されるお面は一般的に「鬼面」と言われ、4つの色が特徴。その色は、陰陽五行説の四季(春夏秋冬)と方位(東西南北)を表すとともに、悪霊を退散させ人々を救済する「仏さま」を象徴しているそう。
つまり「鬼剣舞」は、「仏さま」が悪霊を退散させるため憤怒の形相で東西南北をにらみつけ、四季を通じて天下泰平と五穀豊穣を念じて勇壮に舞う踊り。
従って、「鬼剣舞」を舞う者は「仏さま」の化身であり、そのお面にも角がありません。
一説には、大宝年間(701~704年)に修験の祖と言われる「役の行者 小角」(えんのぎょうじゃ おづぬ)が念仏をひろめるため、念仏を唱えながら踊ったのが「鬼剣舞」の由来だそう。
ちなみに、「鬼剣舞」は師匠から弟子に秘伝書を伝授するというスタイルで伝承されてきており、現在伝えられている最も古い文書は、「鬼剣舞」の元祖とされる岩崎鬼剣舞のもので、享保17(1732)年の秘伝書とのこと。
北上市には現在12の「鬼剣舞」の団体が活動しおり、勇壮で華麗な舞とともに、その歴史と伝統を今に伝えています。
見学する前は、一般的な「鬼」を想像していた石澤さんですが……。
見学を終えると「角」も消えて、すっかり「仏」の表情に……。
最後に感想をたずねると……。
「北上の鬼はやさしいんですね」としみじみ語ってくれた石澤さん。
貴重なお休みの日にお付き合いいただき、ありがとうございました!
◇石澤裕也さんが登場する「きたかみリズム~20代の肖像 vol.3~」の記事もご覧ください。
きたかみリズム×きたかみ仕事人図鑑
20代の肖像
“好き”に導かれて北上市へ。
夢は、地域に寄り添う「メガネ屋さん」。
vol.3 石澤 裕也(26歳)
●記事はこちら! ⇒ 20代の肖像 vol.3
(了)
コメントを残す