「料理人になりた〜い!」と大きな声を出す男の子。
「大きくなったら、江釣子のじいちゃんと米をつくるぞ~!」と叫ぶ男の子。
「漫画家になりたいです!」と力強く言い切る女の子。
「落語家になりた~い!」と声を張り上げる男の子。
「チア、がんばります!」と声を振り絞る女の子は、キュートな赤鬼のコスチュームで登場。
そんな子どもたちに交じって、「俺は日本一の炭焼き屋になるぞ~」と叫ぶ大人の鬼の姿も……。
前日はあいにくの曇り空で、深夜には雨が降ったにもかかわらず、明け方にはその雨も上がり、青空が顔をのぞかせた10月6日(日)の北上市。市内にある鬼のテーマ博物館「鬼の館」は、たくさんの家族連れでにぎわっていました。
「北上会鬼祭(あきまつり)」と題した今回のイベントは、北上市の若き企業家集団「北上YEG」(Young Entrepreneurs Group=商工会議所青年部)が企画したもの。
「北上YEG」は、農林業からサービス業まで50を超える仕事に携わる北上市の若手企業家が名を連ね、企業の発展と豊かな地域経済社会を築くことを目的にさまざまな活動をしています。
その取り組みのひとつが、「北上の鬼」の文化を子どもたちに伝えていくこと……。
北上市の市民憲章にも「あの高嶺 鬼すむ誇り 」とありますが、北上市と言えば民俗芸能「鬼剣舞」が有名。その鬼は仏の化身であり、角がないのが特徴で、その顔こそ勇壮ですが、仏の心を持つやさしい鬼です。
「北上YEG」では、北上市のそうした鬼の文化を未来に受け継いでいくため、毎年「節分」の時期には鬼に扮して北上市内の15の保育園や幼稚園などを訪問。北上市のやさしい鬼に慣れ親しんでもらう活動を19年にわたって続けています。
今回の「会鬼祭(あきまつり)」も、その取り組みの一環として昨年からスタート。子どもたちが声を張り上げて目標や夢を語った「鬼の叫びコンテスト」は、同祭りのメインイベントとして開催されたものでした。
そして、このコンテストを盛りあげようと鬼のコスプレを着てがんばっていたのは、もちろん「北上YEG」のメンバーたち。
この日は、ラグビーW杯で注目を集めるニュージーランドチームの試合前の出陣の儀式「ハカ」を披露し、「鬼の叫びコンテスト」はスタート。と思いきや、さっそく横になってくつろぐ鬼たち……。
彼らのこの日のお仕事は出演者たちを尻目に「寝ること」……、ではありません。「鬼の叫びコンテスト」の審査基準となる、バロメーターの役割。横になっているこの状態が「ゼロ点」。
「鬼の叫び」の内容が良かったり、声がよく出ていたりすると、むっくりと起き上がります。これで「5点」。
その内容や声がさらに素晴らしいと鬼たちが立ち上がります。これで「10点満点」。仕組みはアナログですが、意外とわかりやすかったです(笑)
「鬼の叫びコンテスト」のテーマは、①愛の告白 ②懺悔 ③目標 の3つ。
そのなかから好きなテーマを選び、大勢の観客を前に叫ぶわけですが、「健康になるぞ~」と叫ぶおじさんが観客の笑いを誘い、「〇〇ちゃん、大好きだ―」とかわいく声を張り上げるチビッ子や「足が速くなりたい!」と叫ぶ子どもたちに目を細め、未来のお嫁さんに向かって「愛してるよ~」と告白の練習をする独り者にあたたかい拍手が起こり……、と和やかな雰囲気のなかでコンテストは進みます。
そのなかにあって、将来やりたい仕事の夢を語るチビッ子たちが多いことにびっくり。「きたかみ仕事人図鑑」を制作している身としては、それを聞いていて頼もしく感じるばかりでした!
料理人、農家、漫画家、落語家、チアリーダー……と、夢を叫ぶチビッ子に交じって、「俺は日本一の炭焼き屋になるぞ~」と叫ぶ大人がいた点も良かったですね~。
「きたかみ仕事人図鑑」としては、今回「鬼の叫びコンテスト」に出場したみなさん全員に、
10点満点!
北上市のやさしい鬼たちに見守られて、チビッ子たちの夢がすくすく育ちますように! そう願ったお祭りでした。
以上、「北上会鬼祭(あきまつり)」のリポートでした。
「北上会鬼祭」を企画・運営した「北上YEG」はじめ関係者のみなさま、お疲れさまでした!
(了)
北上会鬼祭(あきまつり)
開催日時/2019年10月6日(日)10:30~15:00
会場/北上市立 鬼の館
後援/北上市、北上市教育委員会、一般社団法人 北上観光コンベンション協会
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