アレルギーの子に自宅で手作りケーキを! 乳・卵アレルギー対応の お菓子作り教室 開催!

小麦・卵などのアレルギーを持つパティシエの新たな挑戦!

 夢が叶いました。

「アレルギーのお子さんを持つ親御さんのために、いつか『アレルギー対応のケーキ作り教室』を開きたいんですよ」

 北上市の人気スウィーツ店「洋菓子工房 ケーキ屋Shimizu」のオーナーパティシエ・清水 活(いきる)さんが、「きたかみ仕事人図鑑」の取材でそんな夢を語ってくれたのは、今から1年前の2019年1月のこと。(記事はこちら!

「洋菓子工房 ケーキ屋Shimizu」のオーナーパティシエ・清水 活(いきる)さんは8年ほど前に、小麦・卵・アーモンド・大豆の食物アレルギーに。

 詳細はそちらの記事に任せるとして、清水さんといえば17歳のときから洋菓子屋さんで修行を重ね、念願叶って30歳で独立。

 しかし、その翌年に小麦・卵・アーモンド・大豆の食物アレルギーが発症。小麦粉に触れただけでも痒みの症状が出て、それがひどくなって湿疹、やがて手足に水疱もでき、痛くてタオルも絞れない、それどころか立ってもいられない状態に。

 洋菓子作りは小麦粉や卵と日常的に触れるため、それを仕事とする清水さんにとって小麦・卵などのアレルギーは致命的です。

 また、3人目のお子さんが生まれた時期でもあり、一時は大好きなパティシエの仕事を辞めて、アレルギー発症のリスクのない新しい仕事を探した方がいいのではないかと悩んだことも……。

 しかし、「辞める必要はない。小麦粉や卵と触れないように、食べないように、対策を立ててやればいい」という病院の先生のアドバイスを受けて、パティシエとして仕事を続ける道を選択。

 現在では、そんな「自分だから」こそできるお菓子をつくろうと、通常のお菓子だけでなく、お客さま一人ひとりのアレルギーに対応した小麦・卵・乳不使用のケーキをはじめ、小麦の代わりに米粉で作った焼き菓子なども幅広く手掛けています。

「ケーキ屋Shimizu」の店頭に並ぶ自慢のケーキたち。
店頭に置かれているアレルギー対応ケーキのオーダー表は、清水さんが考案。
小麦不使用の焼き菓子も販売。こちらは、小麦不使用の焼き菓子で彩るギフトボックス

 とはいえ、それらのアレルギー対応のケーキや焼き菓子を作れるのも清水さんひとり……。ヒトを増やそうにも、アレルギー対応のケーキや焼き菓子を作るとなると、アレルギーに対する正しい知識が必要です。 

 さらに、アレルギーが発症する食物や症状も一人ひとり違うため、自分の“アレルギー”を正しく理解し、それに合わせて細心の注意を払い、作業をしてくれるヒトでないと仕事を任せらず、そうなると結局、清水さんしか対応できないという事情が……。

 そうしたなかでお店には定休日があり、クリスマスシーズンなどのイベントの時期になると予約も急増しキャパオーバーでひとりでは対応できないことも……。

 そんなとき、清水さんが申し訳ないと考えつつ、いつも思うのが「アレルギーのお子さんを持つ親御さんが自分の子どものために、正しい知識のもとで自宅でも気軽にケーキやお菓子をつくれるようになったらいいのに……」ということ。

 1年前のインタビューでも、

「誰よりも親御さんが一番自分の子どものことをわかっているわけですから、その親御さんが作れば安心だし、子どもも自分の親が自分のためにケーキを作ってくれたらうれしいんじゃないかって……。だから、親御さん向けに『アレルギー対応のケーキづくり教室』を開きたいんですよ」(清水さん)

と語っていました。

 そんな清水さんの夢が叶った今回のお菓子作り教室は、北上市の「食のつながり認証制度」(食材をつくるヒト・料理をつくるヒト・食べてくれるヒト……みんなの顔が見える、想いや笑顔をつなげる取り組み)の普及に努める「kitakami gohan」が主催。

 もちろん「洋菓子工房 ケーキ屋Shimizu」さんも「食のつながり認証制度」の認証店ということで、今回の「乳・卵不使用のお菓子作り教室」が実現しました。

この日のお菓子作り教室には講師を務める清水さんの他、清水さんの奥様と若手スタッフもサポート役として参加。
お菓子作り教室には、小さなお子さんを連れた親子を含め、11名が参加されました。

お菓子を作る環境も含めて、アレルギーに対する正しい知識を伝えたい。

 この日、会場に訪れたのは小さなお子さんを連れた3組のご家族を含め11名。

 乳や卵などのアレルギーのお子さんを持つ親御さんを中心に、アレルギーは突然発症する場合もあると知って勉強のために訪れた親御さんや、飲食店の開業に向けてアレルギーの勉強もしようとやってきた女性、さらには奥様に心をこめて手作りしたケーキをプレゼントしようとする新米パパさんなどが参加されました。

 今回作るのは、無調整豆乳・小麦粉・グラニュー糖で作るクレープと豆乳ホイップクリーム、さらにスライスした苺をミルフィーユ状に重ね合わせて作る「豆乳クレープケーキ」です。

 まずは清水さんが注意点を交えながらお手本を見せ、それを踏まえて各テーブルで参加者さんが実際にお菓子作りに挑戦する流れに。

 そのなかで、清水さんが何度も口にしていたのが、使用する調理器具の「アルコール消毒」と、水分や汚れを拭き取る際は布巾などではなく「キッチンペーパーの使用」を徹底すること。

「みなさん、アレルギー対応のお菓子や料理を作るとなると、アレルギーとなる食物を入れなければいいと考えがちですが、それでは不十分です。

 例えば、きちんと洗ったつもりでいた調理器具に、わずかでもアレルギー物質が残っていたらアレルギーが発症する危険があります。

 布巾を丁寧に洗って使っているつもりでも、その布巾に100%アレルギー物質が残ってないとはいいきれないですよね。

 実際、アレルギー対応の料理だから安心だと思って、家でフライパンを使って調理したら発症したという例もあります。その原因を探ったら、きちんと洗ったつもりでいた家のフライパンが原因だったそうです。

 ですから、ご自宅で調理する場合は、使用する調理器具のアルコール消毒と、水分や汚れを拭き取る場合も布巾などではなく使い捨てのペーパータオルを使うのが安全で、なにより安心です」(清水さん)

 自身もアレルギーを持ち、しかも毎日アレルギーが発症するリスクのある小麦や卵を使ってお菓子作りの仕事をしている清水さんは、誰よりもその重要性を痛感しているヒトでした。

 と同時に、細心の注意を払って作業してさえいれば「安心」だということも、身を持って知っているヒトでもありました。

「少しでも多くの方に、作業する環境も含めてアレルギーのことをきちんと知ってもらって、親御さんがお子さんのために自宅でも手軽にアレルギー対応のケーキやお菓子を作れるようになってほしいんですよね」

 今回の料理教室の狙いを、清水さんはそんな言葉で語ってくれました。

◇お菓子作り教室は、清水さんがお手本を披露してスタート!

今回作るのは「豆乳クレープケーキ」です。
無調整豆乳・小麦粉・グラニュー糖で作るクレープの上に豆乳ホイップクリーム、
さらにその上にスライスした苺をのせ、ミルフィーユ状に重ね合わせて ケーキに。
手際よく作業していく清水さんの様子に、参加したみなさんの目もくぎづけに。
この日は苺も1組に1パック配られ、苺たっぷりの 「豆乳クレープケーキ」 が完成!
豆乳ホイップクリームと苺をクレープで包んだ一品も!

子どものために作ってあげられる幸せ。
清水さんと重なるママさんたちの想い。

 さて、今回のお菓子作り教室に参加したみなさんにお話を伺うと、北上市だけでなく近隣の市町村を見渡してもアレルギー対応のお菓子作り教室だけでなく、アレルギーのことを学べる機会自体もほとんどないのが現状だそう。

 また、アレルギーのお子さんを持つ親御さんも周りにいないため、アレルギーについて気軽に相談できる友人や知人もなく、参加者さんからは「こうした取り組みがあるとうれしい」という声が……。

 「kitakami gohan」では、 今回のお菓子作り教室の告知をする際に「いわてアレルギーの会」にもご協力をいただいたそう。そうした努力が実を結び、 必要な方に必要な情報を届け、アレルギーで悩んでいる方々が集える場にもなった今回のお菓子作り教室。

 実際、料理をしながらお互いのお子さんのアレルギー症状について、乳・卵不使用のパン屋さんなど飲食店について、さらには「アレルギーの子どもの前では申し訳なくてケーキやお菓子を食べられないから、子どもが寝静まった夜中にこっそり食べる」といった共感できる話題で盛り上がるなど、貴重な情報交換の場になったよう。

 そうしたなかでも、印象に残ったのが、参加したママさんたちの言葉。

「うちの娘は卵が入ったものを食べると吐いちゃうんですが、私が食べさせたもので吐いちゃうのを見るたび娘が可哀そうだし、切なくて……。

 1歳になって病院に行ったら卵アレルギーだとわかって、そうしたものは食べさせないように注意していますが、でも調理のやり方がわかれば、私がつくったケーキやお菓子を食べても娘が吐くことがなくなります。それが、すごくうれしいです」

 一方、乳・卵アレルギーの2歳のお子さんを持つママさんは……。

「うちの子は特にじんましんが出るわけでも、吐いたりするわけでもないんですよ。ただ、肌が赤くなるのと、乳製品を食べさせると下痢になるので、なんかおかしいなと思って病院に行ったらやっぱり乳と卵のアレルギーだとわかったんです。

 とりあえず、乳や卵をのぞいたものは食べられるので、そういうものでおいしいものを自分でも作ってあげられたらいいなと思って……。

 子どもはまだ2歳ですから、自分では何を食べていいのか悪いのかはわからないですよね。

 食べ物に気を遣わなければいけないのは大変ですが、でも考え方を変えると、そんな子どもが安心して食べられるものを自分が作ってあげられるって、親としてはすごく幸せなことなんじゃないかと思うんです。ですから、この機会に調理の仕方をしっかり覚えようと思って参加しました」

 そうしたママさんたちの言葉は、

「誰よりも親御さんが一番自分の子どものことをわかっているわけですから、その親御さんが作れば安心だし、子どもも自分の親が自分のためにケーキを作ってくれたらうれしいんじゃないかって……」

 そう語っていた清水さんの想いとも重なります。

 今回のお菓子作り教室は、「kitakami gohan」と清水さんがコラボして初めて挑んだ取り組みとのことですが、参加者さんたちの笑顔を見れば大成功と言っていいのではないでしょうか。

 「2回、3回と続けていきたい」と語る清水さんも、大きな手応えを感じている様子……。

 それでは次回の開催を願いつつ、最後は参加したみなさんの真剣な表情と笑顔で締めたいと思います。

 どうぞ、ご覧ください!

◇ケーキ作りの様子

ママと一緒にケーキづくりに挑む女の子。
清水さんのアドバイスを受けながら、クレープ作りに挑む参加者さん。
クレープを焼く際は油を敷きません。
「おいしいケーキをつくってね!」 ママの作業を見守るお子さんの目も真剣!?
参加者さんのいろいろな質問にも丁寧に応える清水さん。
調理器具は使う前に、「アルコール消毒」を忘れずに!
調理の合い間に元気に遊ぶ女の子も……
調理が再開されると真剣モードに。
テキパキと作業を進める参加者さんたち。
ケーキ作りは、親子で楽しめるのも魅力。
こちらは、愛する奥様のために……。
もはや仕事人! 真剣な眼差しで作業に没頭する女の子。さて出来栄えは……。

◇それぞれの個性が光る、バラエティ豊かなケーキが完成!
 みなさま、お疲れさまでした<(_ _)>

(了)

kitakami-gohan9
乳・卵アレルギーの方対応 お菓子作り教室

開催日時/2020年1月18日(土)10:30~12:00 

会場/生涯学習センター調理実習室(JR北上駅西口駅前 おでんせプラザぐろーぶ 3階)

講師/洋菓子工房 ケーキ屋Shimizu オーナーパティシエ 清水 活(いきる)

参加費/1組 2,500円

定員/12組

主催/kitakami gohan

2020-01-20|
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