できることをコツコツと……。Iwate-DEの挑戦。
きっかけは、3月25日(水)。37歳の誕生日を迎えた小原照記さんは、新型コロナウイルスへの不安がひろがるなかで、Iwate-DE(いわてデジタルエンジニア育成センター)のセンター長として「なにか、やならきゃ!」と一念発起!
自身が所有する2台の3Dプリンター(4月21日には10万円の給付金を活用して3台目も購入!)もフル稼働し、3Dプリントマスクやイヤーガード、フェイスシールドなどの試作に挑み続けています。
さらにその取り組み状況を、自身のFacebookでも紹介。しかも、それを見て「ぜひ欲しい!」という方には、「寄付」というカタチで無償提供。
ちなみに、現在まで3Dプリントマスクを地元のりんご農家さんに2個、蕎麦屋さんにも3個(こちらは、これから製作)。
フェイスシールドは大阪市の保健所に10個、三重県の福祉施設と宮城県の病院にそれぞれ5個、さらに県南の病院にもサンプルとして15個提供したところ、さっそく「追加でさらに40個ほしい」とオーダーがきたそう。
「3Dプリンターは試作がメインで、大量生産には向いていません。ですから、つくる量には限界があって、たくさんの方にお届けできないのが悩ましいところです。
でも、マスク不足の問題の解決に、さらにはフェイスシールドもゴールデンウィーク明けには量産化が進んでもっと出回るようになると思いますので、それまで少しでも必要な方に届けられたらと思って取り組んでいます」(小原さん)
3Dプリンターでつくられたという、気になるプロダクトがこちら!
◇3Dプリントマスク&イヤーガード
3Dプリントマスクの紐は、使用した後の使い捨てマスクの紐を活用。
3Dプリントマスクは、アウターとインナーの2つのパーツで構成。
アウターの内部にガーゼやティッシュペーパーなどをセットし、インナーで挟んでセッティング。取り付け・取り外しもカンタンにできます。
インナーには口がつかないような構造になっているため、内部も清潔。「3Dプリントマスクだと汚れても、洗って拭けばすぐ使えるので、仕事用に便利だと思います」と小原さん。
下がイヤーガードを装着した様子。ふだんマスクをしていないヒトは、マスクの紐で耳が痛くなりがち。それを防ぐために考案されたのがイヤーガードです。
◇フェイスシールド
下が装着した様子。A4のクリアファイルをクリップでハメるだけでカンタンに装着できます。
病院の受付や保健所、さらに福祉施設では手話をする方用に。手話をする方は手振りだけでなく口元も動かしてコミュニケーションをするため、マスクではなくフェイスシールドが安心で便利だそう。
すぐ試作・改善ができるのが3Dプリンターの強み。
小原さんの挑戦の歩みをどうぞ!
◇3月27日(金)
地元企業さんと3Dプリンターでつくる3Dプリントマスクづくりの打ち合わせがはじまり、試作がスタート。
◇3月29日(日)
自身でも3Dプリントマスクのデータづくりを開始。さらに無料公開されている産業用3Dプリンターメーカー「イグアス」さんの3Dプリントマスクづくりにもチャレンジ。会社の3Dプリンターだけでなく、自宅の3Dプリンターもフル稼働状態に。
◇4月4日(土)
デザインも試行錯誤。小原さんはヒーローものの3Dプリントマスクづくりにもチャレンジしましたが、評判は……。
◇4月12日(日)
無料公開されている「PITATT 3D Print mask」のデータをダウンロードし、3Dプリントマスクづくりに挑戦。
◇4月18日(土)
カラーバリエーションを増やそうと、4色の3Dプリントマスクにも! ちなみに小原さんは、青がお気に入り!
さらに、大阪大学大学院医学系研究科のサイトから「フェイスシールド」のデータをダウンロードして試作。A4クリアファイルをシールドに活用。
写真は半透明なクリアファイルですが、実際は「透明なものを」と小原さん。
◇4月26日(日)
「黒は?」というご要望と、「フェイスシールドが欲しい」というニーズに応えて、黒い3Dプリントマスクとフェイスシールドを試作。
◇4月27日(月)
岩手県の県章をモチーフにイヤーガードを試作。
◇4月30日(木)
前日に公開された「PITATT 3D Print mask」のver2もさっそく試作。鼻の当たる部分の形状も従来に比べてラクになり、大きな手応えを掴みました。
◇5月2日(土)
県南の病院からフェイスシールドが40個追加オーダー。現在、3Dプリンターフル稼働で製作中!
新型コロナウイルスとの戦いは長期戦となりそうですが、小原さん率いるIwate-DEの挑戦も、もちろんずっと続きます。
(了)
岩手県北上市相去町山田2-18 北上オフィスプラザ 1階
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