あなたの隣に、鬼はいる!?

北上の鬼とは?

 “鬼”と言えば、角があって怖い顔をしているものだと思っていました。しかし、北上市周辺で継承されている民俗芸能「鬼剣舞」の鬼は怖い顔こそしていますが、角はありません。

 なぜなら、鬼剣舞の鬼は悪いことをする鬼ではなく、人々を守る「仏様の化身」だからだそうです。ほんとかな?

 「仏様の化身」が舞う鬼剣舞とはどういうものなのか? ぜひ一度見てみたいと思っていたら、渡りに船とばかりに開催されたのが「北上・みちのく芸能まつり」。

 8月3日から3日間、市内各地で鬼剣舞はもちろん、鹿踊(ししおどり)や神楽などの民俗芸能が数多く披露され、最終日には大きな花火大会も実施される夏のビッグイベントです。祭りだ祭りだ└(o゚∀゚o)┘ヮッショィ!!

 

鬼を目指すチビッ子たちの舞にほのぼの。

 北上市では鬼剣舞が盛んで、4歳ぐらいから高校生までが参加するジュニアクラブや少年団がたくさんあるらしく、街の文化としてしっかり根づいているようです。

 その子どもたちが主役の少年鬼剣舞は祭りの初日の夜にお披露目されるらしく、私は期待に胸を膨らませて会場へと出かけましたo(^-^)o

 北上市民に愛されている鬼剣舞、しかも子どもたちが舞うとあって、駅前の大通りを封鎖した会場にはたくさんの観客が集まっていました。登場する団体は10を超えるでしょうか。

 小学校入学前と思われるチビッ子たちの可愛らしい鬼剣舞から、身体の大きな高校生たちのダイナミックな鬼剣舞まで、団体ごとにグループをつくりながら一斉に舞う様子は圧巻です。

 ただ、“鬼”というほどの怖さはなく、“仏様”というほどの神々しさもまだないようですね。国指定の重要無形民俗文化財にも指定されている鬼剣舞です。立派に踊るための道は、険しいのでしょう。

 明日は大人が舞う鬼剣舞を見る予定もあり、円熟の舞いを見る楽しみが広がりました。

 

突然、キャーッという声! 一体、何が!?

 チビッ子たちが失敗して慌てる様子などを微笑ましく眺めながら、各団体の舞を眺めているときでした。ある団体の前に立つ2人の女性の姿が目に留まりました。たぶん女子高生でしょう。

 なぜ、そこに目がいったかと言えば、舞い踊る少年たちが振り返るたび、彼女たちが「キャーッ!〇〇く~ん」と激しく手を振っていたからです。手を振る相手は、きっと彼氏なのかな?

 その彼氏(?)は、恥ずかしくて顔を赤らめている鬼か、はたまた青い顔をした鬼か、白い鬼か、黒い鬼かは定かではありませんが、40代のおじさんにはその青春真っ只中の甘酸っぱい光景があまりにもまぶしくて、その場をすごすごと退散したのでしたf^_^;

 

力強い舞のあとに、“鬼”の正体を発見!?

 さて、翌日は1200年以上の歴史を誇る諏訪神社で行われた奉納鬼剣舞を鑑賞。登場した鬼剣舞の舞い手たちは大人とあって、身体は高校生よりさらに大きくガッチリとして落ち着きがあり、どこかオーラすら感じます。

 それは、子どもの頃から修練を重ねてきた人たち、いや鬼たちだからこそしぜんと出てくる風格とでもいうのでしょうか。諏訪神社の神前にひざまずく姿は神聖な空気を漂わせ、思わず手を合わせたくなります。

 

 しかし、いざ踊り出すとその空気は一変。ガッチリとした大きな身体が髪(「ザイ」というらしいです)を振り乱して激しく舞い踊れば、いつしか鬼のお面をかぶった舞い手は鬼そのものとなり、荒々しい息遣いはそのまま鬼のうなり声に聞こえてきます。

 

 もはや「仏様の化身」なんかじゃありません。これは鬼だ、とひとり納得して興奮冷めやらぬまま会場を後にしようとしたそのときです。私は、「仏様の化身」を見つけてしまいました!

 

 奉納鬼剣舞が終わり、観客たちも帰り支度をはじめたとき、その風景に出会いました。さっきまで荒々しく踊っていた舞い手が鬼の面をはずして誰かと談笑していたのですが、相手は赤ちゃんを抱いている女性です。ふたりはご夫婦でしょうか。

 このとき、北上の鬼剣舞の鬼が悪いことをする鬼ではなく、人々を守る「仏様の化身」だという意味がストンと腑に落ちました。大切な人を守るために、心を鬼にして戦う凛々しい姿が、鬼剣舞なのですね、きっと。

パパさん、かっこよかったぜ!

 私は心の中でそうつぶやくと、いそいそと会場を後にしたのでした。昨日、見た子どもたちの鬼剣舞も、修練を重ねていくうちに大切な人を守る力強い鬼へと変わっていくのでしょう。

 なぜか、「キャーッ!〇〇く~ん」と激しく手を振っていた女子高生たちと一生懸命に舞う少年たちの姿が目に浮かびました(*´m`)ムフフ

がんばれ、〇〇くん! かっこいい鬼になってね!

(了)

2018-08-08|
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