初めての「豪雪」に舞い降りたエクストリームスキーヤーとの遭遇!
白い雲に覆われていた空から青空が顔をのぞかせたのは、標高1054mの兎森(うさぎもり)山の頂点をめざして雪道を登っているときでした。



遠くに北上市内を望む雄大な景色を眺めていると、スキーをかついだ若い男女が私たちのあとから登ってくる姿が……。

北欧からやってきたという2人は、エクストリームスキーヤー。整備されたゲレンデではなく、誰もまだ滑っていない大自然の中の急斜面を、木々の間を縫って滑り降りていくヒトたちです。

そんな海外のスキーヤーも多く訪れるこの場所は、北上市内から車で西へ30分ほど走ったところにある「夏油高原スキー場」。
「豪雪」というキャッチフレーズが表す通り、ゴールデンウィークまでスキーやスノボが楽しめる日本屈指の積雪量と上質なパウダースノーが海外のスキーヤーやボーダーたちをも魅了する話題のスポットです。
1月27日の岩手日報によると、今シーズンは暖冬により「25日時点で累積降雪量は盛岡以南を中心に半分程度」。多くのスキー場が雪不足に悩み、オープンが大幅に遅れたり、スキー大会が中止になったりしているそう……。
その悩みは「夏油高原スキー場」も例外ではなく、今シーズンは岩手県内のトップを切って11月21日にオープンしたとはいえ、例年に比べると1mほど積雪量が少ないとか。
しかし、それでも「夏油高原スキー場」の平均積雪量は、5m20cm。例年より1mほど積雪量が少ないとはいえ、平均4mを超える積雪量だと考えると、雪を愛するスキーヤーやボーダーたちには恵まれた環境。

誰も滑っていないノートラックな斜面を見つめるエクストリームスキーヤーの心も弾んでいることでしょう。
初めてのスノーシュートレッキングで、「豪雪」を体感!
それはさておき、私がこれからご紹介する記事は、ノートラックな山の急斜面を果敢に攻めながら滑り降りるエクストリームスキーの勇敢な体験談、ではありません。むしろ、それとは真逆。
小中学生の頃にスキーを少しかじっただけで、以来20年以上東京で生活し、スキー場はもとより雪とさえもほとんど縁のない暮らしをしてきた私にとって、例年より1m雪が少ないとはいえ、大人の伸長を大幅に超える積雪量を誇る「夏油高原スキー場」の山に踏み込むのは、ズブの素人がノートラックな山の急斜面をスキーで滑り降りるようなもの(は言い過ぎか!?)。
そんな輩が、北上市が誇る「豪雪」を楽しむのなら、まずは初心者大歓迎のスノーシュートレッキングから始めるのが良いのでは? というわけで、「夏油高原スキー場」に訪れたのが1月26日(日)。
この日は、「夏油高原スキー場」で「小松由佳スノーシュートレッキング」(主催:スポーツリンク北上)というイベントが開催されます。
イベント名にもなっている「小松由佳」さんとは、日本人女性で初めて標高世界第2位のK2(8611m)に登頂し、植村直己冒険賞も受賞した高名なる登山家。そんなすごい方と北上市のつながりは、北上市が手掛けた「北上アウトドアツーリズムガイドブック」のトレイルコースを監修したのが小松さんであり、それがご縁で今回のイベントも実現したそう。

里山の風景や水沢鉱山跡地など歴史的建造物をめぐるおよそ12.3kmのトレイルコースも監修。
同冊子には、他にサイクリング・マラニック(マラソン×ピクニック)・ウォーキングなど、著名なアスリートが監修したコースなども豊富にご紹介しています。
前日には、北上市内で「ヒマラヤ登山から得た教訓~最も困難な山、K2登頂とビバークからの帰還~」と題した小松さんの講演会が開かれており、そちらと連動したイベントが今回のスノーシュートレッキングです。
しかも、そのコースは平坦な道をのんびり歩く設定になっていて、初心者にもやさしい心配りがうれしいところ。
気になるコースは、イベントの開会式が行われた標高およそ600mのところにあるスキーセンターから、標高およそ900mの山頂までは第1ゴンドラを使用。山頂にある駅についたらそこでスノーシュー(西洋かんじき)を装着し、いざトレッキング開始。
【今回のトレッキングコース】

まずは標高1099mの横岳まで登り、そのままほぼ平行移動で山頂展望台(1077m)を経由して、兎森山(1054m)に登り、ゴールとなる第2ゴンドラ山頂駅へ。
その距離がおよそ3kmということで、第1ゴンドラ山頂駅を10時に出発し、お昼前には第2ゴンドラ山頂駅に到着するというスケジュールでした。
山の天気は変わりやすいとはよく聞く話。「吹雪になったら、いやだな」と心配もしましたが、当日はすっきり快晴! とは言えませんが、曇り空の向こうには時折青空が顔をのぞかせ、気になる風もほぼ無風状態で、トレッキング日和といった感じ。
これなら素人の私でも楽勝だろうと緊張の糸を緩めようとすると、
「雪山とはいえ乾燥しているので、お水をよく飲むこと。ただし、汗をかくと体が冷えるので、汗をかかないように歩きましょう」と小松さん。

(水は飲め。でも汗はかくな……。う~む、ムズい!)
何やら禅問答のようだと思いながら、小松さんのアドバイスに感謝し、私は緩みはじめた緊張の糸を再び張りなおしたのでした。
そんな感じで当日のスケジュールと注意事項が伝えられ、開会式が終わると、スノーシュートレッキングがいよいよスタート!
「豪雪」と評判の「夏油高原スキー場」の頂上へ、いざ出発!
その様子は以下、写真とともにお楽しみください<(_ _)>
標高1000mを歩く スノーシュートレッキングに、出発!

朝8時過ぎのゲレンデは、まだヒトもまばらでしたが……。




横岳(標高1099m)へ







この山脈のくびれ部分にある夏油高原は山脈の横幅が狭く、雪雲が集まりやすい地形となっているため、
狭い範囲に集中して雪が降るそう。「夏油高原スキー場」が「豪雪」となる所以です。

横岳に生えた木もすっぽり埋まります。例年より1m積雪が少ないそうですが、本来なら、この枝も隠れてしまうそう。







山頂展望台(標高1077m)へ



初心者にはやさしいコースでした。



スキー場の目の前にこの2つの山があることで雪雲を滞留させ、「夏油高原スキー場」に雪を降らせる働きも。「豪雪」の所以のひとつです。


兎森山(標高1054m)へ



「きちんと距離をとって歩きましょう」とアドバイスを受け、トレッキングを楽しむ参加者さんたち。





もっともスキーに夢中で、景色を堪能する時間もないのかも……。




初めてのスノーシュートレッキングでしたが、たっぷり楽しめたため、空腹もマックスに。
人気のカツカレーをいただきましたが、写真を撮るのも忘れて、おいしくいただきました!
ですので、写真がないのはご容赦を<(_ _)>

向こうに見える山並みに、縦に走る真っ白なラインが「夏油高原スキー場」のゲレンデです。
あの頂上を、稜線に沿って歩いていたのか……、と感慨もひとしお。



「夏油高原スキー場」の頂上から見た青空がこれだったのか……、としみじみ思った1月26日(日)の昼下がり。次はスノーモービルにチャレンジかな!?
(了)
小松由佳スノーシュートレッキング
開催日時/2020年1月26日(日)8:30~13:00
参加費/3,500円(ガイド料・ゴンドラ代・昼食代・入浴料・保険料など)、スノーシューレンタル別途500円
会場/ 夏油高原スキー場 (岩手県北上市和賀町岩崎新田 )
主催/スポーツリンク北上
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